新型ハリアーの最廉価仕様「S」(2.0L・FF)は買い?

■299万円の新型ハリアーのエントリーグレード「S」を徹底チェック!

新型ハリアーも先代同様、300万円を切るエントリー価格になっています(価格帯は299万円~504万円)。

先代の登場時は、2.0LガソリンのFFが272万円〜という設定でした。ガソリン仕様の発売は2013年12月、ハイブリッド車の発売は2014年1月で共に消費税は5%の時代。

現在の消費税10%との違いはもちろん、多機能化や高性能化、先進安全装備などの充実化などを考えると、かなり頑張ったエントリー価格の設定といえそうです。

トヨタ ハリアー
新型ハリアーのエクステリア

では、299万円のプライスタグを付ける2.0Lガソリンの「S」にはどんな装備が用意されているのでしょうか。エントリーグレードだけに「買っても大丈夫か」気になるところ。

■意外と大きい!? 「S」と「G」の価格差は42万円

まず安全関連では「トヨタ・セーフティ・センス」が全車に標準装備されています。ただし「アダプティブハイビームシステム」はレスとなり、代わりに「オートマチックハイビーム」を標準化。

「アダプティブハイビームシステム」はハイビーム保持を基本として、先行車や対向車を検知すると相手を幻惑させない自動ハイビーム。「オートマチックハイビーム」は相手を幻惑させない機能はなく、先行車や対向車のライトを認識し、ハイビームとロービームを自動で切り替えるシステムです。

とくに明るい都市部や街中中心であれば「オートマチックハイビーム」でも不便はあまり感じさせないはず。

トヨタ ハリアー
新型ハリアーのリヤビュー

そのほか「S」だけでなく、「G」も含めてリヤクロストラフィックオートブレーキ+ブラインドスポットモニターがメーカーオプションになります。

ヘッドライトは、新型ハリアーの特徴であるプロジェクター式LEDヘッドランプではなく、3灯式LEDヘッドランプになります。また、LEDフロントフォグランプがディーラーオプションに。

トヨタ ハリアー
新型ハリアーのデジタルインナーミラー

視界関連では、以前お伝えした、話題のデジタルインナーミラー(前後方向録画機能付)がメーカーオプションになります。

フロントドアグリーンガラスの「スーパーUVカット・IRカット機能・撥水機能付 」、フロントオートワイパーもメーカーオプション。デジタルインナーミラーを選択するとフロントワイパーはオート(雨滴感応式)になるため、デジタルインナーミラーとオートワイパーはセットオプションです。

トヨタ ハリアー
新型ハリアーのリヤビュー

エクステリアに目を移すと、「S」の足元は225/65R17タイヤ&17╳7Jアルミホイール(シルバー塗装)になります。マフラーカッターは他グレードが楕円なのに対して「S」は真円。フロントバンパーメッキガーニッシュは、「G」以上がアッパーとロアに施されているのに対して「S」はアッパーのみ。アウトサイドドアハンドルもメッキではなくカラードになります。

●使い勝手の面で大きいのは、パワーバックドアの有無

インテリアをチェックします。

インパネとフロントドアトリムのパイピングオーナメントが「S」には用意されません。パネル加飾も含めて加飾を簡素化もしくは素材を変えています。

ドアスカッフプレートも車名ロゴやイルミネーションが省かれます。さらにフロント足元照明、フロントインサイドドアハンドル照明 などの一部イルミネーションも未設定。

気になるエアコンは全車フルオートエアコンですが、ヒーターコントロールパネルは、写真の静電タッチタイプではなく、ダイヤル式。

トヨタ・ハリアー
新型ハリアーのインパネ

操作系では、本革巻き3本スポークステアリングホイールが「G」以上に標準のサテンメッキ加飾付ではなく、シルバー塗装加飾付になります。さらにステアリングスイッチのピアノブラック塗装も「S」には施されません。

チルト&テレスコピックステアリングもオートではなくマニュアルタイプ。メーターまわりではマルチインフォメーションディスプレイが7.0インチではなく、4.2インチと小さくなり、メーターリングもサテンメッキ塗装からシルバー塗装になります。

トヨタ ハリアー
「S」に標準のディスプレイオーディオ

カーナビでは、「S」はディスプレイオーディオが標準で、「T-Connect SDナビゲーションシステム +JBLプレミアムサウンドシステム」は未設定です。

また、「S」のシートはファブリックになり、前席はパワーシートではなくマニュアル式になります。電動ランバーサポートやポジションメモリー、運転席オートスライドアウェイも「S」は省かれます。快適温熱シート+シートベンチレーション(運転席・助手席)も「S」は未設定。

トヨタ ハリアー
新型ハリアーのシート。なお、「S」はファブリックになる

ほかにも、スマートエントリー(運転席・助手席・バックドア/アンサーバック機能付)&スタートシステム(スマートキー2個) は用意されるものの、後席のスマートエントリーと車名オーナメントが「S」は省かれます。

使い勝手の面で大きいのは、「S」にはパワーバックドアが用意されない点で、必須の方は「G」以上が選択肢になります。

トヨタ ハリアー
新型ハリアーの外観

「S」の評価は人によってかなり差が出そう。せっかく高級SUVの新型ハリアーを買うのだから、最も高い「Z」や、中間グレードで売れ筋になりそうな「G」で迷うのが多数かもしれません。

あるいは、「Z」と「G」にのみ設定されている「Leather Package」が欲しい、という声も当然あるでしょう。

一方、先代同様に「若いユーザーにも乗って欲しい」という想いも「S」からよく伝わってきます。

頑張って新型ハリアーを買おうという人にオススメできますし、個人的には「S」という選択肢も十分にアリだと思います。なお、ガソリン/FFの「S」と「G」の価格差は42万円です。

※上記写真には「S」グレード以外も含まれています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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