■細くしたAピラーを後ろに引いてワイドな視界を確保
以前お伝えしたように、新型アコードはメインマーケットの北米ではオーナーの平均年齢が50代から40代に、中国では平均29歳と、若い層からの支持が高まっているそうです。
アコードに限らず、近年のセダンはユーザー層の若返りが重要なテーマ。スタイリッシュなエクステリアが与えられた同セダンは、従来型よりも55mmもホイールベースを伸ばし、タイヤを四隅においた堂々たるプロポーションが目を惹きます。
さらに、代を重ねるごとに着座位置が高くなっていたというアコードは、ヒップポイントを25mm下げることで、欧州スポーツセダン並の低い位置に座らせる姿勢になっています。着座位置が低くなったことで、乗降時の身体の動きは大きくなったものの、セダンとしてとくに窮屈な印象はあまり受けません。
また、足を投げ出すようなシートポジションは、人により好みが分かれそうですが、シートハイトなどのシートの調整代も大きく、また背もたれも従来より約90mm高くなり、快適な座り心地になっています。
低く座らせることで気になってくるのは前方視界。Aピラーを後方に100mm引いてワイドな視界を確保すると共に、Aピラーの断面も細くなったことで、すっきりとした視界が広がっています。
ロングホイールベース化により後席のフットスペースも従来型よりも70mm、膝まわり空間は50mm拡大しています。身長171cmの筆者の筆者がドラポジを取ると、膝前に拳2つ半強、頭上には、手の平3枚ほどの余裕が残ります。
また、トランクの広さも新型アコードの美点。インテリジェントパワーユニット(IPU)を後席座面下に収めたことでトランク容量は573L(VDA)と、同クラスでもトップレベルといえる広さ。開口部が広く、奥行き、荷室高も余裕があります。また、地上からの開口高も従来よりも25mm低く設定されているため、ゴルフバッグなどの出し入れも楽にできそう。
なお、後席の前倒しは左右一体式で、背もたれを前に倒したときに乗車できるのは、前席2人のみになります。他の(市場)仕向け地には、6:4分割可倒式も用意されているそうで、市場のニーズを想定して後席の前倒し機構を選んだといいます。
日本では、セダンの6:4分割機構はあまり使われていない、という判断だと思われます。
(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)
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