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■RAV4昔話
「むかし、キムタクがCMしてたよね。それで大ヒットして街でたくさん見かけて……」
そんな話を振ってみたボクに対する助手席の彼女の反応は「……???」。まったくイメージがわかないようだ。
でも、考えたらそれも無理はない。初代RAV4がデビューしたのは1994年で、ボクはまだ免許証も持っていないクルマ好きの少年だった。彼女は……まだ生まれていないかも。知らなくても当然だ。
■キャラ変、成功!?
それにしても、1世代スキップしてしばらくのお休みから復活した新型RAV4に触れてみると、あの頃とはまったく違うクルマになったんだなと実感する。まずボディサイズ。キムタクがCMをしていた頃のRAV4は当初、全長わずか3.7mとコンパクトなことが特徴だった。
でも今のRAV4は全長4.6mとかなり大きくなった。プラットフォームは大型セダンの「カムリ」と共通だし、パワートレインは、ガソリン車のエンジン排気量は2.0Lで、ハイブリッド車であれば2.5Lにもなる。ずいぶん立派になったものだ。
それから、キャラクターだって変わった。初代の頃は「アーバンなSUV」を主張していたけれど、新型のスタイリングやインテリアデザインはタフギヤ感を強調。ひとことでいえば「ゴツい」。まるで「Gショック」のようにアウトドアにも似合うアクティブな雰囲気だ。
■きっと楽しい
「好きよ、こういう感じ。」
そうささやく彼女。ボクのことかと思ったらそうではないらしい。RAV4のことのようだ。
「都会的な洗練された雰囲気よりも、ワイルドなデザインのほうが好き。だって、そのほうが楽しそうでしょう。」
たしかに新型RAV4は楽しそうなイメージをもっている。それが先代までのRAV4と大きく違うところだし、新型になって人気が復活した理由のひとつがそこにあるのも間違いなさそうだ。
ストリートファッションでは、アウトドアウェアやアウトドアギアを身に着けて楽しむ人が増えている。山登りやキャンプをするわけではないのに。でも、それが個性の演出だし、何より楽しい。
新型RAV4が舵を切ったのもその方向だろう。決してハードな悪路を走るわけじゃないけど、乗っているだけで毎日がなんだか楽しくなる。毎日がワクワクしてくる。
「今度、キャンプに行こうよ。このRAV4で。」
行こう、行こう。彼女とボクと、そしてRAV4。きっと楽しいはずだから。
新しいRAV4にはそんなワクワク感がある。新型は大きくイメチェンしたけど、その変貌は成功といえるだろう。単なるモデルチェンジじゃなくて、少しお休みしてからのカムバックがいい方向に作用したといえるんじゃないかな。(つづく)
(文:工藤貴宏/今回の“彼女”:ちとせよしの/ヘア&メイク:牧 詠子/写真:ダン・アオキ)