7代目フェアレディZを含む、18か月以内にローンチする新型車12台のシルエットを日産が公開【週刊クルマのミライ】

■中国と北米をコアマーケットに成長を狙う日産自動車。北米ニーズを重視したニューモデルを用意する

2019年度の販売実績は、前期比1割以上減の493万台。売上は9兆8789億円と同14.6%減で、6712億円の赤字決算となった日産自動車。

新型コロナウイルスの影響がなくとも、かなりメタメタな状況で、抜本的な改革が必要といえます。

そこでルノー・日産・三菱自動車のアライアンスでは、各社の経営資源を最大限に利用することで現状を打破すべく、新しいビジネスモデルを発表しています。

販売面においては各社が得意としているエリアを「リファレンス地域」として設定することで販売リソースを最適に配分することも目指しています。具体的には、日産は中国・北米・日本が担当。ルノーは欧州・ロシア・南米・北アフリカで、三菱自動車はASEAN・オセアニアがリファレンス地域となります。

また、新車開発においては「リーダーとフォロワー」という枠組みによって、プラットフォームからアッパーボディまでも共通化したモデルを開発する新体制へ移行することがアナウンスされました。

2025年までにはアライアンス各社のラインナップのうち半数が「リーダーとフォロワー」という体制から生み出されるといいます。つまり、カテゴリーやセグメントによっては各社独自開発のモデルは現行型が最後になる可能性があるといえるのです。

こうした背景を理解した上で、日産が決算発表に合わせて公開した「NISSAN NEXT From A to Z」という72秒のムービーについて紹介しましょう。

今後18か月の間に12車種のニューモデルをローンチするという日産が、その12モデルのシルエットを頭文字のアルファベットと共に紹介。さらにエンディングでは12の車名を完全公開しているムービーなのです。

サムネイルを見ただけで、手前に次期型フェアレディZの姿があるのを確認できますが、ムービーでは『A・A・F・K・M・N・N・P・Q・R・T・Z』のアルファベット順に、シルエットが紹介されています。

それぞれ登場シーンのスクリーンショットでシルエットと車名を確認してみましょう。

ARIYA
ARIYA(アリア)はリーフに続く100%電気自動車
ARMADA
ARMADA(アルマダ)は大型のSUV
FRONTIER
FRONTIER(フロンティア)は北米で人気のピックアップトラック
KICKS
KICKS(キックス)は間もなく日本でもローンチする小型SUV
M
Mが頭文字の車名は未公開。ミステリーのMだろうか
NAVARA
NAVARAはピックアップトラック
NOTE
NOTE(ノート)はお馴染みのコンパクトカー
PATHFINDER
PATHFINDER(パスファインダー)はかつて日本でテラノとして販売されたモデルをルーツに持つSUV
QASHQAI
QASHQAI(キャッシュカイ)は欧州や中国で展開するSUV
ROGUE
ROGUE(ローグ)はエクストレイルの兄弟車だ
TERRA
TERRA(テラ)は新興国向けのSUV
Z
ZはもちろんフェアレディZだ

車名についてはムービーの最後にフラッシュ的に記載されていますが、一時停止をすればしっかり確認できるもので、日産としては隠すことなく車名を伝えていこうというわけです。

日産の場合、全体にモデルライフが長くなっていますから、どれもがフルモデルチェンジを待たれている状態であり、いまさら隠す必要はないということなのでかもしれません。

冒頭で日産のリファレンス地域に北米が含まれると記しましたが、たしかにアルマダ、フロンティア、パスファインダー、ローグ、そしてフェアレディZなどは北米がメインマーケットのモデルであり、12モデルのラインナップからも北米重視で販売増を狙っていることがわかります。

なお、この中で車名に関する情報がムービー内に出ていないのが「M」で始まるモデル。これまでの日産でMから始まるモデルとしてはマーチ(マイクラ)やミストラル、ムラーノなどが思い浮かびます。

このシルエットではリーフレールらしき影が見えるような気もしますので、クロスオーバーSUVと考えることができそうで、まったくのブランニューモデルである可能性は高いといえそうです。

ちなみに、A to Zの口火を切ったARIYA(アリア)は完全なニューモデルで、100%電気自動車のクロスオーバーSUV。東京モーターショー2019に飾られたコンセプトモデルでは、充電口が右フェンダー部分にあって、鼻先にあるリーフとの違いを示していましたが、果たして量産仕様ではどのような処理になっているのか。

リーフからの買い替えを検討するEVユーザーであれば充電設備のレイアウトから気になるところかもしれません。

(自動車コラムニスト・山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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