『バーチャルキー』がさらなる展開! 九州電力のマンション向けEVカーシェアに採用へ

■スマホを鍵として使える

以前、大阪府豊中エリアで始まったカーシェアサービス『Patto』に、『バーチャルキー』というシステムが採用されたという記事を掲載しました。この『バーチャルキー』は、スマートフォンをクルマのスマートキーの代わりにできて、物理キーが不要になり、クルマの予約から決済、利用時のクルマの解錠・施錠までがひとつのアプリで完結できるという、カーシェアには非常にマッチした技術になります。

バーチャルキー
バーチャルキーの技術を使えば、スマートフォンでイモビライザーも解除できます。

この技術は、株式会社スマートバリューが提供するモビリティシェアリングプラットフォーム『Kuruma Base(クルマベース)』に搭載されているものなんですが、当サイト『clicccar』の最大のライバルである自動車ニュースサイト『Response』を運営している株式会社イードが、デバイス開発と認証技術を得意とするベンチャー企業・株式会社ジゴワッツと共同開発したものです。

技術的には優れていても、事業者に採用されないとなかなか一般ユーザーが恩恵にはあずかれないものですが、事業者にもメリットが認められたようで、2020年12月から九州電力株式会社(九電)が開始するマンション向けEVカーシェアリングサービス(名称:weev)に採用されることになったそうです。

この『weev』は、九電が首都圏と九州で展開を予定しているマンション入居者向けのカーシェアサービスで、新築・既築マンションを問わずに導入できるものです。スマートフォンに専用アプリをダウンロードして会員登録すれば、いつでも電気自動車の予約・利用が可能になるとのことです。

EVカーシェアサービス『weev』
『weev』はマンション入居者(we)が利用できる電気自動車(ev)というのが由来だそうです。

この『Kuruma Base』は、カーシェアのような“クルマのサービス化”を実現するために重要になる鍵の受け渡しに『バーチャルキー』を採用しているので、カーシェア事業をスタートしやすいんですね。今後は、この方式を採用したカーシェアが増えていくかもしれません。

ちなみに『バーチャルキー』というのは、ジゴワッツ社の「key.bo/t」認証テクノロジーを利用した認証サーバ(③)とスマートフォンアプリ(②)、バーチャルキー車載器(①)によって構成されます。車両のセキュリティに対する改造工事をしなくても、カーシェア車両にできるので、かなりコストを減らすことができるというわけです。

バーチャルキーの仕組み
車両には車載器の接続が必要ですが、大がかりな改造は不要です。

前述のイード社では『iid 5G Mobility』として、モビリティ革命を支援するために、このジャンルのベンチャー企業や新たな取り組みをする企業に対する支援等を行っているようです。また、新たなテクノロジーやソリューションがここから出てくるかもしれません。

今回のバーチャルキーやそれに関する取り組みなど、イード社は、Responseを運営していく中でクルマのさらなる利便性を考えて生まれた展開なのでしょう。戦後最初の自動車雑誌としてモーターファンを復刊させた三栄書房(現在の三栄)が運営するclicccarも負けてられませんが、三栄にはもう少しクルマのエンタメ方向で頑張って欲しいと期待してます。

(まめ蔵)

この記事の著者

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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