目次
■サビを落として塗装する!
●サビ落としの道具は?
古いバイクに乗るなら一度はフレームが見えるまで裸にしてメンテナンスしましょうと前回お伝えしました。今回はその後編、フレームのサビを落として塗装をします。
最近ではクルマやバイクのサビを落とすならサンドブラストを使って塗装ごと剥いでしまう方法が一般的です。ただ、サンドブラストを行うにはエアコンプレッサーやブラストキャビネットなど、大掛かりな道具が必要になります。
そこまで揃えると、手軽に誰でも行えるメンテナンスとは言い難くなってしまいます。もっとカンタンにサビを落としましょう。
サビを落とすにはワイヤーブラシ、ボンスターなどのスチールたわし、スコッチブライトなどのナイロンたわしがあれば十分です。しかもこの3つは100円ショップでも買えます。お財布に優しく、誰でもできる方法としてオススメです。
ただし根気が必要です。サビをゴシゴシと人力で落とすのですから、時間がかかるのは仕方ありません。それに手も汚れます。
筆者の場合、ホームセンターなどで売っているニトリル系の手袋を着用します。厚手のものと薄手のものがありますので、作業する内容によって使い分けるのです。キャブレターの分解など手の感触が伝わって欲しい時は薄手、サビを人力で落とすような場合には厚手のものを着用しましょう。
前述の3つでサビを落とす場合、まずワイヤーブラシを使います。潤滑スプレーなどをサビに吹き付けてからゴシゴシとブラシを当てます。これで大まかなサビが落ちるはずです。
ワイヤーブラシを使いづらい場所もあります。それほどサビが広範囲ではなかったり、ブラシの柄が動かしづらい場所などでは直接スチールたわしを当ててしまいます。ワイヤーブラシもスチールたわしも、ゴシゴシ使うと粉塵が飛びますので、できればマスクを着用するといいでしょう。
大まかにサビが落とせたら、仕上げにナイロンたわしで磨きます。
できれば鉄の表面から完全にサビを除去するのが理想ですが、そこまでやるにはさらなる根気が必要になります。本来ならフレームだけでも丸1日2日使うくらい頑張ります。
●塗料は何がいい?
あまり根気がない筆者のようなタイプは、サビを落とすだけに1日も2日もかけていられません。ではどうするかといえば、サビの上から塗装できるサビ止め塗料を使うのです。
サビ止め塗料にも色々と種類がありますが、旧車のサビ止めによく使われるのがPOR15という防錆塗料です。
POR15は腐食した金属表面に直接結合して、強度が高い皮膜を形成するコーティング剤と考えていいでしょう。通常のサビ転換剤と違って耐久性も強度もあるため、アマチュアレストアラーの強い味方であるのです。ただ、ちょっと高価です。今回使った100mlのタイプで2000円前後します。でも、それだけの価値があるとお伝えしましょう。
こうした性格の塗料ですから、シンナーで薄めてエアブラシで吹き付けるわけにもいきません。基本的に筆塗りです。
速乾性はありませんので筆塗りしていてあっという間に乾いてしまうことはありませんが、そのまま放置すると筆は再使用できなくなりますので、できればシンナー系うすめ液で洗っておくといいでしょう。
また手に着くと2、3日は取れません。ここでもニトリル系手袋の着用がオススメです。
前回外した腐食の激しいバッテリーケースも同様にサビを落としてPOR15を塗装します。こうした小さな部品は針金などで吊って塗装しつつ、そのまま屋根などにひっかけて乾燥させると作業しやすいです。
シートが固定されるベースステーも塗装しておきます。フレーム単体まで分解しなくても塗装できるところはすべて塗装しましょう。
●ハーネスの清掃
すぐにでも塗装工程に移りたいと思いますが、サビ落としの後にできればハーネスの清掃をしておくことをオススメします。というのも塗装する前には一度フレームを脱脂しておきたいからです。フレームを脱脂すると言うことはカンタンに掃除することでもあります。だったらハーネスからも汚れを落としておきましょう。
と言ってもフレーム内を通っている部分まで引き出すことはありません。要はギボシなどの接続部を中心に掃除することで、通電を邪魔する要素を減らしてあげるのです。できればギボシは一度外して接点復活剤などを塗布しておくといいでしょう。
ですが今回、清掃中にやってしまいました。1本だけ接続部が不明の線が出てしまったのです。
こうした場合に役立つのが分解する前の写真です。同じ部分の写真を探して見比べてみれば、どこに入っていた線なのかをチェックすることができます。
ですが、どうにも見当たりません。困りました。パーツリストの配線図を見て考えることにします。
●エアクリーナーを戻す
POR15の塗装が乾いたら、ハーネスや外しておいたバッテリーケースを戻して組み直します。
その勢いで前回外したエアクリーナーケースも元に戻しましょう。でもただ戻すのではなく一手間加えます。
エアクリーナーケースにはキャブレターと繋がるゴム製のインシュレーターがあります。ここは経年劣化で破れたり切れたりしやすくなってますので、保護艶出し剤などを塗り広げてメンテナンスしてあげましょう。こうすることでキャブレターと接続するときもゴムが柔らかいので作業しやすいはずです。
今回はここまでです。次回はいよいよサスペンションに手をつけましょう。
(増田満)