自動車税が5月末までに払えない!新型コロナの影響への対応、猶予はあるのか?

■申請すれば猶予は可能。何もしないと差し押さえも

5月は自動車税や軽自動車税の納付時期です。例年、ゴールデンウィーク明けに納税通知書が送られてきて、基本的には5月31日の納期限までに納税する必要があります(2020年は曜日の関係で6月1日を納期限とする自治体も多いようです)。

東京都の自動車税納税通知書の封筒
この時期になるとポストに投函される東京都の自動車税納税通知書の封筒例

クルマを所有する人にとって毎年大きな出費であるばかりでなく、今は新型コロナウイルスの影響により、特に中小の事業者や(筆者を含めた)個人事業主などにとっては「自動車税よりも当座の資金繰りに困っている」方も多いはずです。

まさに最悪のタイミングですが、では、収入減などにより納税できない場合はどうなるのでしょうか? また、猶予措置などはないのでしょうか?

●自動車税は3月31日までの所有者にかかる税金

まずは自動車税や軽自動車税について、簡単におさらいましょう。これらの税金は、クルマを購入後に毎年納税する地方税です。より具体的には、自動車税は都道府県に収める税、軽自動車税は市町村に収める税になります。

納税の義務があるのは、4月1日時点でクルマを所有している人。3月31日までに車両を登録抹消しているか、売却などで名義変更をしていれば、翌年度の税金は発生しません。ところが、もし売却したのが3月31日以前でも、名義変更が4月1日以降の場合は、旧所有者に納税通知書が来るので、支払う必要があります。

東京都の自動車税納税通知書
東京都の自動車税納税通知書。2020年は6月1日が納期限

税額は自動車税の場合は総排気量で細かく10段階に分かれていて、

1000cc以下…2万9500円(2万5000円)
1001cc〜1500cc…3万4500円(3万500円)
1501cc〜2000cc…3万9500円(3万6000円)
2001cc〜2500cc…4万5000円(4万3500円)
2501cc〜3000cc…5万1000円(5万円)
3001cc〜3500cc…5万8000円(5万7000円)
3501cc〜4000cc…6万6500円(6万5500円)
4001cc〜4500cc…7万6500円(7万5500円)
4501cc〜6000cc…8万8000円(8万7000円)
6000cc以上…11万1000円(11万円)。
軽自動車税…一律1万800円

となっています。 ※( )内は2019年10月以降に新車購入・登録した場合の減税された後の税額

自動車税減税
2019年10月以降の自動車税減税の排気量別金額。(出典:日本自動車工業会)

納付方法には、ゆうちょ銀行を除く金融機関のほか、コンビニ払いやインターネットからのクレジット払いなどがあります。

自動車税
自動車税は5月31日までの納付期間までに収めないと滞納金が発生したり、車検が受けられないことも(画像:写真AC)

●車検が受けられなくなる

では、5月31日までの期限までに支払わないとどうなるのでしょうか?

まず、うっかり忘れて6月1日以降に払おうとする場合は、便利なコンビニ払いでの納付ができなくなります。各地自体の自動車税事務所や税事務所、指定金融機関に自動車税納税通知書兼納付書を持参して支払うことになります。自治体によって変わりますが、インターネット経由での納付に対応しているところもあります。

特に、注意したいのは延滞金が発生すること。延滞金は納付期限から1か月以内なら年2.6%、1か月を超えた場合は年8.9%と定められています。納付をしないと次の車検が受けられなくなるばかりか、最悪の場合はクルマや財産を差し押さえられることもあります。

自動車税
自動車税を納付しないと、次の車検を受けられないなどの罰則がある

●猶予が認められるには要件がある

では、新型コロナウイルスの影響で収入が激減している場合の対応はどうなっているのでしょうか?

基本的には、各自治体とも納税猶予の対象にしているため、申請して認められれば期限までに納税しなくても延滞金などは発生しません。

例えば、東京都の例。新型コロナウイルスの影響により納税が困難な場合は、全ての都税を1年間猶予することを発表しています。これは、自動車関連の税も同様で、自動車税も対象になっています(新車購入時にかかる自動税税環境性能割を除く)。また、滞納金は全額免除で、担保も不要です。

対象になる人は、基本的に以下の2つの要件を満たしていることです。

1:令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること
2:一時に納付し、又は納入を行うことが困難であること

また、それ以外でも、例えば

・新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で、消毒作業が行われ備品や棚卸資産を廃棄した場合
・本人または生計を同じにする家族が病気にかかった場合
・事業を廃止、または休止した場合
・事業の利益減少などにより著しい損失を受けた場合

といったケースでも猶予制度が受けられるようになっています。

各自治体で多少内容が変わる場合もありますので、詳しくは居住する都道府県や市町村などに問い合わせてみて下さい。

なお、上記のような要件やケースに当たらない場合も、自動車税をクレジットカード払いにし分割で払えば多少の時間的猶予はできます。ほかにも、失業中や休職中など期限内に支払えない理由によっては、都道府県税事務所との交渉で分割払いにできることもあります。

自動車税
クレジットカードの分割払いでも、多少支払いに猶予を持たせることもできる

いずれにしろ、新型コロナウイルスの影響で自動車税や軽自動車税が払えない場合は、早めに各自治体の窓口に相談することが最善策であるといえるでしょう。

(文/写真:平塚直樹)

【関連リンク】

新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方に対する猶予制度について | 東京都主税局
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/ncov/new_virus_yuyo.html

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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