車検を安くあげるコツは?【保険/車検のミニ知識】

●車検の費用はクルマの維持費の中でも大きな負担になる。車検を安く仕上げるには?

クルマを所有していると、車両の種類にも異なりますが、1年から3年で継続検査を受けなければならない時期が来ます。車検の費用は思ったより高額になることが多く、準備をしていても痛い出費です。

車検の費用はどの業者を選び、どこまで整備をするかで大きく変わります。今回は車検の費用を安く抑えるためのポイントについて解説していきます。

・車検で必ずかかるお金と、そうではないお金

車検の際にかかる費用は法定費用、車検基本料、整備費用の3つに分けられます。

最低限どんな方法でも必ず負担する費用は、法定費用といわれる重量税、自賠責保険料、印紙代です。ユーザー自ら点検・整備を全て行い、運輸支局へクルマを持ち込んで車検を通すユーザー車検と言われる方法では、最低限の費用の法定費用だけで車検を更新することも可能です。

車検基本料と整備費を支払うことがないので最も費用を安く抑えることができます。

車検を業者に依頼する場合は、法定費用に加えて車検基本料がかかります。固定費用の法定費用と違い、車検基本料は定期点検料、測定検査料、代行手数料、人件費も含まれており業者によって費用が異なります。

車検費用
車検の検査料や工賃は、お店ごとに結構違うもの。チラシやホームページなどを見比べてみると、お得な整備工場が出てくるかもしれません。

整備費用は必ずではなく必要に応じて任意で決めることができます。車検基本料と同じく業者によって費用が異なります。車の状態を確認して詳細な見積もりを出してもらい、業者に相談して整備項目を削ることもできます。

このように車検を受ける際に自ら全てを行うユーザー車検の場合と業者に依頼する場合では、必ずかかる費用と、そうではない費用があることを理解しておきましょう。

・車検にかかる固定費を下げるには

法定費用の金額は一律に決められていますが、エコカー減税対象車の場合は重量税の負担を一度に限り減らすことができます。

エコカー減税は期間限定で対象車種も限られており、2020年4月現在の法制度では対象車が2019年5月1日〜2021年4月30日まで新規登録を行った場合に、次回の車検時の重量税を減免または軽減させることができます。

また民間の整備工場には認証工場と指定工場があり、印紙代(検査手数料)も数百円ですが金額がかわります。認定工場に依頼した場合は、印紙代と証紙代を合わせた1700円〜1800円かかります。

認定工場は車検のための分解・整備を行うことはできますが、保安基準検査を行う車検の検査ラインをもっていないため車検の検査は各地にある陸運支局にクルマを持ち込み、検査を受ける必要があります。そのため、自動車検査登録用の印紙に加えて陸運支局へ支払う自動車審査のための証紙が必要となるのです。

指定工場に依頼した場合は、印紙代のみ1100円と認定工場より費用が少ないです。指定工場は陸運支局から車検整備の代行許可を得ている工場で、自社工場の中に保安基準検査を行うラインがあり資格を保有した検査員がいるため、陸運支局にクルマを持ち込むことなく車検、整備を行うことができます。

どちらも見やすい場所に標識を上げるように定められているので車検を依頼する前に確認しましょう。最近多くなってきた、90分車検や120分車検のような、短時間で車検整備を終えて、出庫できる事業所は、ほとんどが指定工場となっています。

整備工場
車検整備はどこでも行えますが、車検の検査は指定工場でのみ許されています。認証工場と指定工場の違いを、しっかりと覚えておきましょう。

固定費の車検基本料と整備費用は、点検項目を減らし部品交換は必要最低限にすることで費用を抑えることができます。業者によって価格設定が違うため請求される費用が異なります。

複数の業者を比較してみて車検費用を比べて、費用対効果が高い業者に依頼するといいでしょう。

・整備費用は削っても大丈夫?

車検はクルマが道路運送車両法に定められた保安基準に車が適合しているかを調べる検査です。

カーディーラーなどでは単純に保安基準を満たすだけでなく、車検整備をして出庫したクルマが走行中に故障や不具合が発生し、トラブルや事故に繋がることのないように念入りに点検、整備、部品交換を行います。品質と好調を保つ整備をするため、保安基準以上の整備項目が増え車検費用が高くなってしまうこともあるでしょう。

整備見積書
法定費用が意外にかかる費用に関しては、すべて見積書に提示されています。専門的な用語も多いので、わからないことは、しっかりとお店の人に確認しましょう。

しかしながら、保安基準に抵触する状態の部品は交換や修理をする必要があります。

大きな部品交換が必要になり費用が大きくかかってしまう場合はリビルト品(リサイクルパーツ)に交換するという方法もあります。リビルト品は中古部品を分解、洗浄したものになり、中古の部品ということで新品の部品より価格が安くなっています。

安全性に関わる消耗品の交換は即座に行い、あまり消耗や劣化していないものは整備士に確認を取りながら整備項目を考えていきます。費用のことだけを考え整備項目をあまりにも少なくしすぎて、車検は通ったものの、すぐに動かなくなったというのでは意味がありません。

クルマの状態と、整備の内容はしっかりと把握した上で、整備内容を決めていくことが大切です。車検時に交換を勧められながら、保安基準には抵触しないからと先延ばしにして、出庫後にすぐに故障し、再整備というのでは本末転倒です。

車検時の分解整備の際に一緒に交換しておけば、交換工賃も安く済むこともしばしばです。目先の車検代だけにとらわれず、長期的な視点で整備費用については考えていく必要があります。

・まとめ

車検の費用を安く抑える方法は車検基本料と整備費用を見直すところからになります。整備費用を少なくすることで車検費用を抑えることはできますが、車検を受けて後2年乗るぞと考えている矢先に故障したのでは意味がありません。

多少、整備費用がかかったとしてクルマを保有し使う期間を考えてメンテナンスをして、クルマの好調を維持することが、最も経済的な方法なのかもしれません。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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