旧車再生の基本・フレームを清掃する(前編)【49年前のCB125は直るのか?素人再生記 】

■フレームを丸裸にする!

●汚く見える原因

前回までにキャブレターを分解して清掃する方法をご紹介しました。そのままエンジンにキャブレターを取り付けてエンジンを再始動するのもいいのですが、せっかくバラしたのですからもったいないともいえます。

はい、さらに分解を進めてみたいと思うのです。

というのも、バイクはクルマと違ってエンジンやフレームが剥き出しです。それもデザインと考えればいいのですが、走行しているとどうしても汚れてしまいます。

見える構造部が汚いと車体全体がヤレて見えるものです。キレイにしたいのでしたら、分解を進めてフレームにも手を入れてあげましょう。

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1971年式ホンダCB125のスタイル。

だからといってフレーム単体までバラバラにしてしまうと、その後が大変です。過去に経験がありますが、フレーム単体まで分解するとキリがなくなります。

どうせ外したのだからエンジンも分解してオーバーホールしたくなります。フルレストアするハメになるものです。今回はそこまでしないで、できるだけカンタンに49年も前のバイクを復活させる企画です。

ですのでキャブレターに続いてカンタンに外せる燃料タンクやシートなどを分離して、フレームをキレイにします。

●燃料タンクの外し方

バイクの顔といってもいいのが燃料タンクでしょう。このカタチが全体のスタイルを大きく左右する重要な部品です。

でも外すのは意外とカンタンです。多くのバイクはシートを持ち上げるとタンク後ろ端でフレームと固定するステーやゴムがあるはずです。このほかにタンク前方でフレームの突起へ引っかかっているだけのことが多いのです。

では我がCB125の場合はどうでしょう。ひとまずフレーム左側、シートの裏付近にある棒を押すとシートのロックが解除されます。そのままシートを持ち上げると、シート裏にステーがありますので引き出してフレームとつっかえ棒のようにしてシートを固定します。

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シートを持ち上げる。

するとタンク後ろ端は案の定、ゴムのクッションに挟まるように固定されていました。これを外してタンク前方の突起からタンクを抜けば持ち上がるはずです。

このとき注意すべきは、古くなり硬くなったゴムです。無理やり引き出そうとするとゴムが切れてしまうことがあります。ゴムにダメージを与えないよう、注意して作業しましょう。

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燃料タンク固定部。

タンクを外す前に燃料コックをオフにしてホースを抜かなければいけません。今回の場合はキャブレターを外してありますので、そのまま抜いても大丈夫です。フレームの突起にはまっているタンク前方のステーを抜いてタンクを外す準備をします。

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フレームの突起とタンク。

と考えタンクを持ち上げようとすると、何かが引っかかって外れません。

なんで?と思ってタンクとフレームの間を覗いてみると、なんとタンク左右から出た突起を燃料ホースで連結していたのです。このホースがフレームの下を通るものですから、タンクが持ち上がらなかったのです。

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燃料タンク下の燃料ホース。

ということで連結しているホースを外すと、やってしまいました。はい、ホースの先端が割れてしまったのです。おそらく過去の整備で何回かホースを脱着しているうちに弱っていたのでしょう。

燃料ホースは純正にこだわらなくても大丈夫です。ホース内径をノギスで計測して、同じサイズの燃料ホースを探せばいいのです。今ならネットにいくらでも売り物が見つかります。

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外したホースとスプリング。

●シートの外し方

無事に燃料タンクが外れると、今度は持ち上がったままのシートが邪魔になります。我がCB125のシートは後ろ側を支点にして前が持ち上がります。ということは支点を外せばいいわけです。

こちらは10mmのナット2つで固定されているだけですので、メガネレンチやスパナがあればカンタンに外せます。

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シート支持部。

ただ今回外そうとして観察すると、2つあるナットが違うものになっていました。おそらく過去に片方を紛失して、ありあわせのナットで組んだのでしょう。どうせなら揃えたいところです。

●エアクリーナーを外す

フレームの上から燃料タンクとシートが外れると、バイクの構造がよくわかる姿になります。古いバイクなんですから、所有するのでしたら一度くらいはこうして愛車の状態を確認したいものです。

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タンクとシートが外れたフレーム。

我がCB125の場合、この状態からサイドカバーを外すとエアクリーナーが出てきます。キャブが2つあるのでエアクリも2つあります。

これを外すとメインフレームから下へ伸びるフレームとの間も掃除できるはずです。その中にはバッテリーケースもありますから、ここも外してサビを落としましょう。

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エアクリーナー。

エアクリーナー中央にあるナットを外すと上蓋が外れます。でもここは後から外しても良かったようで、ケース自体は2つのナットでフレームに固定されているだけでした。ここまで外したのですから、エアクリーナーの内部をエアブローしてゴミを飛ばしておきます。

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エアクリーナーを外す。

●バッテリーケースを外す

エアクリーナーが外れたら、お次はバッテリーケースを外しましょう。ここはフレーム上側にナット4つで固定されています。ナットを外せば引き抜けそうですが、ハーネスが邪魔をします。

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バッテリーケース。

バッテリーケースにスターターマグネットスイッチ、ウインカーリレーが固定されているからです。

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ハーネスを外す。

この2つはひとつのボルトで共締めされてますので、外すのはカンタンです。さらにハーネスから伸びてフレーム上に固定されているヒューズを外してハーネスをフリーにします。これでフレームの掃除ができるようになりました。

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ヒューズを外す。

●フレーム丸見えでショックを受ける

フレームの内側が丸見えになると、やはりショックを受けます。予想はしていたのですが、フレーム内側を見事にサビだらけです。

おそらくバッテリーが放電したことで、袋小路のようになっている部分を侵食してしまったのでしょう。掃除しただけで元に戻せば、サビがさらに広がることは確実です。ここからサビを落として対処することにしましょう。

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サビだらけのフレーム。

フレームからハーネスをフリーにしたら、車体前方へ移動します。バイクのハーネスはヘッドライトケースの内側でトグロを巻き、フレームに沿ってエンジンやバッテリーまで伸びています。

ですのでフレーム前側で固定してあるハーネスもフリーにしてあげるのです。

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フレームに固定されたハーネス。
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ハーネスを束ねるステーを緩める。

ハーネスの裏にフレームがありますので、掃除するなら徹底して進めましょう。長くなりましたのでフレームの掃除と手入れの続きは次回、紹介したいと思います。

(増田満)

この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
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