外観の日常点検とは?クルマ周りを回ってタイヤやランプなどをユーザー自身が点検【自動車用語辞典:定期点検編】

■メンテナンス(チェック)シートに従えば、素人のドライバーでも実施可能

●タイヤ(空気圧、溝深さ、傷みなど)やランプ系(点灯やレンズ傷みなど)を最低でも月1回点検

クルマの点検には、ユーザー自身が行う日常点検と、法律で定められた法定点検があります。日常点検は、エンジンルームを覗いて点検、クルマの周りを回って点検、運転席に座って点検の3つに分類できます。

「クルマの周りを回って点検」4項目について、解説していきます。

●日常点検とは

「道路運送車両法」では、クルマの使用者は点検および必要に応じて整備することによって、保安基準に適合するように維持しなければならないと規定されています。

そのため、日常的に必要な最低限の項目については日常点検を実施する必要があります。点検頻度については規定されていませんが、最低でも月1回は行うのが安心です。

日常点検は、次の3つに分けることができ、それぞれに4~6項目の合計15項目の点検項目があります。

・エンジンルームを覗いて点検:ブレーキ量やエンジンオイル量など

・クルマの周りを回って点検:タイヤの空気圧や摩耗、ランプの点灯や損傷など

・運転席に座って点検:ブレーキの効き、エンジンのかかり具合および異音など

以下に、「クルマの周りを回って点検」4項目の点検内容について紹介します。

日常点検項目
日常点検項目

●タイヤの空気圧

タイヤの空気圧が適正かどうかを、常温状態のタイヤの撓み具合で判断します。ラジアルタイヤや判断が難しいときには、タイヤ(空気圧)ゲージでチェックします。

・タイヤの空気圧が不足すると、走行安定性が低下し燃費も悪化します。空気圧が不足した状態で長時間高速走行すると、最悪タイヤが破裂するバーストが発生します。

・空気圧が高すぎるのも、走行時のバランスが悪化してステアリング操作が難しくなります。

●タイヤの亀裂、損傷

タイヤ(含むスペアタイヤ)の接地面の全周と両側面に亀裂や損傷がないか、異物(釘や尖った小石など)が噛み込んでないかを目視でチェックします。タイヤに噛み込んだ異物は、安全のため取り除くことが大切です。

・気付かずに走行を続けると、パンクやバーストの恐れがあります。特に、高速走行時に起こると大事故になる可能性があります。

●タイヤの溝の深さおよび異常な摩耗

タイヤの摩耗状態については、タイヤのスリップサインなどで点検します。スリップサインは、溝の深さが1.6mm以下になると表れます。

・スリップサインが出ると、ブレーキ力が低下してスリップしやすくなり、特に雨天時は非常に危険です。この状態で走行すると、保安基準不適合で取り締まりの対象になります。

・スリップサインが表れたら、すぐにタイヤを交換しなければいけません。

・タイヤの摩耗に著しい偏り(偏摩耗)がある場合は、足回り等に重大な不具合がある恐れがあるのでディーラーのサービスなどに点検を依頼するのがよいです。

●ランプ類の点灯、点滅およびレンズの汚れ、損傷

ヘッドランプ、ストップランプ、テールランプ、ウィンカーランプなど各灯火装置のレンズの変色や破損、ひび割れなどがないか点検します。

・ランプは自分のために周囲を明るく照らすという役割と、周辺のクルマに動作や存在を知らせる役割もあります。ウィンカーやストップランプが故障すると、後ろから衝突されるリスクが増えます。


多くのドライバーは、ボンネットを開けたことがない、日常点検を実施したことがないのでは、と言われています。点検方法は、車検証などと一緒に収納されているメンテナンスノートに従えば、意外と簡単です。

安全のため、自分のクルマを長持ちさせるため、最低でも月1回の日常点検を行いましょう。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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