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●クルマを動かす動力源のエンジン、それだけにチューニングの効果を感じやすい部分でもある
クルマの心臓部であるエンジンは、簡単にはチューニングをしにくい部分ではありますが、手を加えることで走行フィールが最も変わる、チューニングのしどころでもあります。今回は、車検に通る改造・通らないエンジンルームのチューニングを解説していきます。正しい知識と方法で、クルマのチューニングをさらに楽しみましょう。
・指定部品ではないエンジンでは、どこならチューニングが許されているのか
クルマの部品の中には、社外品に換えることが許されている「指定部品」というものがあります。例えば外装のエアロパーツやマフラー、タイヤホイールや足回りの部品などは指定部品になっており、大きさが一定規格を超えなければ、比較的簡単に交換や取り付けをすることが認められている部品です。
しかし、エンジン本体は指定部品には入っておらず、仮に丸ごと違うものに載せ替えるということになると、エンジン型式や排気量などが変わってくるために、必ず公認を取り構造変更が必要となります。つまり車検証の記載内容と同じエンジンでないといけないため、エンジン型式などに変更がある場合には、速やかに届出をして、車検証の内容を書き換えないといけないことになっています。
では、エンジン関係ではチューニングをすると車検に通らなくなってしまうのかというと、そうでもありません。エンジンルームには無数の消耗部品があり、これらを社外品に交換することは車検が通る改造となります。
例えば、エアクリーナーエレメントやオイルフィラーキャップ、アーシングなど、走りに関するものからドレスアップ目的のものまで、様々です。
・エンジンルームの部品交換は「漏れ」に注意
車検整備時にエンジンルームを点検整備しますが、その時に確認しているのは「車体番号の有無」と「漏れ」です。この漏れには液体類とガス類の2つがあり、オイル漏れやガス漏れなどがあたります。エンジンルーム内に手を入れてチューニングしようとしたときに注意するのは、この漏れを発生させないようにすることです。
エンジン内部の部品を交換した後に、ヘッドカバーの締め付けが悪くエンジンオイルが漏れたり、ホース部分の交換による冷却水の漏れなども厳禁です。わずか一か所でも、小さな部分でも、オイルや水が漏れている状態では、絶対に車検に通りません。
直接油脂類やガスが通るホースの交換をする際にも、漏れに関してのケアは十分に行っておく必要があります。新しい部品を取り付けたり交換した際に、整備不良の状態を起こさないことが、エンジンルーム内での部品交換における大原則です。
・キノコ型エアクリーナーは違法な改造じゃない
ここまでの説明では、あまり大層な改造ができそうにない、少し難しそうと敬遠されるエンジンルームのチューニングですが、見た目も性能も大きく変えることができ、かつ車検に問題なく通るチューニングの一つがエアクリーナーの交換です。
エアクリーナーエレメントは、消耗部品の一つで、エンジン内に新しい新鮮な空気を入れる際のフィルターの役割をしています。定期的に交換が必要な部品で、純正状態ではボックスの中に入れる平たいエレメントが主流となっています。
この平たいエレメントにも様々なタイプがあり、空気の流入量を増やすようなスポーツタイプのエレメントに変更すると、エンジンフィールも変わってきます。
また、このエアクリーナーの交換を見た目にもわかりやすく、魅せながらエンジンフィールを変えていく方法があります。
大きなキノコのようなものがエンジンルームに生えているように見える、エアクリーナーエレメントを剥き出しの状態でエンジンルーム内に配置するタイプのものに交換するチューニングがあります。見た目のゴツさから、車検に通らないのではないかと敬遠されている方もいるかもしれません。
もちろんエアクリーナーがないクルマは車検に通りませんが、しっかりとしたエアクリーナーが付いていれば、ボックス型でも剥き出しでも問題はありません。エンジンルームを開けた時の見た目から、車検入庫を断る整備工場もあるようですが、取り付けがしっかりされていてエアクリーナーが機能を果たしていれば、合法的なチューニングです。
・まとめ
エンジンカバーが厳重にされているクルマも増えてきており、よりブラックボックス化が進むエンジンルームですが、手を加えてはいけないということはありません。
細かな部品をコツコツと変えていくことは違法ではありませんし、大きな換装や載せ替えなどをしなければ、エンジンルーム内はチューニングのしどころの多い宝の山でもあります。
非常にセンシティブな機械なので注意すべき部分はたくさんありますが、普段は人目につかないところを改造して、他のクルマとは一味も二味も違う、マイカーを追求してみてはいかがでしょうか。
(文:佐々木 亘)