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■オフロードが得意でワイルドさ満点のクルマたち
今ではあまり聞かれなくなった「クロカン」という言葉。「クロスカントリー」の略で、主にオフロードなど舗装されていない道を走る4WD(4輪駆動)車を指すことは、昔からのクルマファンならご存じですよね。
1980年代〜1990年代に一世を風靡し、数々の名車が生まれたクロカンですが、SUVの台頭により今では残念ながら少数派となりました。それでも後継モデルの新車が依然販売されている車種もあります。
ここでは、2020年に新車で購入できるクロカン4WDの血統を受け継いだクルマたちを紹介しましょう。
●トヨタ・ランドクルーザー
「ランクル」の愛称で知られる、トヨタの大型クロスカントリー車です。
1951年の初代BJ型から現行の200系まで、70年近い歴史を誇り、海外でも高い人気を誇る名車中の名車です。
現行モデルは4.6L・V型8気筒ガソリンエンジンを搭載し、最高出力318psを発揮。ハードな悪路走行などでも信頼性が高いスーパーインテリジェント6速オートマチックを搭載したフルタイム4WDで、オフロード走行時に岩石路、砂地路、急坂路など路面状況に応じてトラクションやブレーキを最適に制御する5つのモード選択が可能。
通常走行時とオフロード走行時、乗り降り時などで車高が変えられる4-Wheel AHCや、走行状態に応じて減衰力を自動制御する4-Wheel AVSなどを搭載しています。
ランドクルーザーには、やや小型の兄弟車で、エンジンに2.7L・4気筒ガソリンまたは2.8L・4気筒ディーゼルを搭載したランドクルーザープラド、
高級ブランドのレクサス向けに豪華装備と5.7L・V型8気筒エンジンを装備したLX570などの派生モデルもあります。
●スズキ・ジムニー/ジムニーシエラ
軽自動車のオフロード4WD車のジムニーも、1970年に出た初代から生産され続けているクルマです。
2018年に20年振りのモデルチェンジを受けた現行モデルは、頑強な新開発のラダーフレームや、エンジンを縦置きに配した伝統のFRレイアウトを採用。
路面状況に応じて2WDと4WDを任意に切り替えて走行できる「機械式副変速機付きパートタイム4WD」や、凹凸がある悪路などで優れた接地性を生む「3リンクリジッドアクスル式サスペンション」、電子制御の「ブレーキLSDトラクションコントロール」などの装備で、高いオフロード走破性を実現しています。
ジムニーには1.5Lエンジンを搭載した普通車サイズのジムニーシエラもあり、こちらも基本的に同様の装備が与えられています。
●ジープ・ラングラー
ジープは、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)が展開するオフロード車がメインのブランドで、中でもラングラーは本格的4WDの代表格ともいえるモデルです。
そのスタイルは、第2次世界大戦中の1940年代にアメリカで作られた軍用車ウィリスの流れを継承していて、この「カタチ」のクルマを総称し「ジープ」という愛称で呼んでいた時代もあったほど有名です。
1887年に初代が販売されたラングラーは、2018年にモデルチェンジを受け、4代目の現行モデルが登場。エンジンには、2.0L・4気筒ターボと3.6L・V型6気筒をラインアップし、全て4WDを採用しています。
ウィリスの血統を受け継いだ2ドアモデルのスポーツと、
4ドアのアンリミテッドがあり、さらにアンリミテッドには仕様によってスポーツ、サハラ、ルビコンといったグレードがあります。
4WD機構は、電子制御式センターデフを搭載した独自のシステム「セレクトラック フルタイム4×4システム」を採用。クルーズ向け、雪道や未舗装路向け、悪路や岩登り向けなど走行条件に応じ選択ができるパートタイム4×4と、オンロードとオフロードを問わず使用できるフルタイム4×4の「4H AUTO」モードなどを装備。
最もオフロード性能を高めたリミテッド ルビコンには「セレクトラック フルタイム4×4システム」をベースに、悪路や岩場で最大の駆動力を発揮する「4L」モードのギア比を4:1低レンジにすることで、悪路などでのさらなる走破性の向上も実現。
アメリカの広大な大地を縦横無尽に走れるクルマ、それがラングラーなのです。
●ランドローバー・ディフェンダー
ディフェンダーは、インドのタタ・モーターズ傘下にあるイギリスの高級4輪駆動車ブランド、ランドローバーより発売されているオフロード走破性が高いSUVモデルです。
2020年4月に受注が開始された新型は流麗なボディを持つクロスオーバースタイルになっていますが、1980年代に出された初代などは、よりクロスカントリー車的なスタイルでした。
現行モデルでは軽量アルミニウムを使ったモノコック構造のボディに、2.0L・4気筒エンジンを搭載。ボディタイプは全長が異なる「90(ナインティ)」と「110(ワンテン)」の2種類から選択が可能です。
駆動方式は伝統のフルタイム4WDで、砂地や草地、雪道などのハードな悪路でも前後輪のトルク配分を調整して、安定した走りを実現。路面状況に応じて、最適なサスペンションやトランスミッション、トラクションなどの車両設定を自動制御するテレイン・レスポンス2も装備し、7種類の走行モード(コンフォート、芝生・グラベル・雪、泥地、砂地、エコ、ロック、ウェイド)が選べます。
見た目の高級感とオフロード走破性を両立しているという点では、ピカイチのクルマといえるでしょうね。
(文:平塚直樹 写真:トヨタ自動車、スズキ、FCAジャパン、ジャガー・ランドローバー・ジャパン)