■カーシェア利用者による「車両の持ち逃げ」「詐欺・横領損害」にも対応
三井住友海上火災保険は、個人間カーシェアリングに対応した業界初の「カーシェアプラットフォーマー専用自動車保険」を開発し、4月から販売を開始すると発表しました。
同商品は、個人間カーシェアなどのカーシェアプラットフォーム運営事業者(カーシェアプラットフォーマー)が契約者(記名被保険者)になり、カーシェア利用中の事故を包括的に補償するものです。さらに、柔軟な補償設計が可能になっています。また、従来の自動車保険では補償対象外であった「持ち逃げ」リスクも補償することで、安心して利用できるようにするそう。
具体的には、3つの業界初が盛り込まれています。まず、カーシェア利用中の事故を包括して補償する点。カーシェア利用中の事故について、クルマの利用1回ごとの契約手続きではなく、事業者と三井住友海上の年間契約を包括的に補償。この契約方式は、カーシェアプラットフォーマー向けとして業界初になります。これにより、車両所有者およびカーシェア利用者は、補償の抜け漏れの心配なく安心してサービスを利用できます。
■車両の持ち逃げも補償
つぎに、カーシェアプラットフォーマーごとに補償内容をカスタマイズ可能で、人身事故、物損事故および車両などの基本補償に加えて、弁護士費用や車内手荷物の補償などの提供有無を選択できる柔軟な補償設計が可能。車両の持ち逃げなどの「詐欺・横領損害」も補償されます。
従来の自動車保険では支払対象ではなかったカーシェア利用者による「車両の持ち逃げ」など「詐欺・横領損害」の補償を個人間カーシェアなど向けに業界で初めて提供されることになります。シェアリング特有のリスクに対応することで、車両所有者が安心して個人間カーシェアを始められるようになります。
同社は、開発の背景について「CASE」のキーワードに象徴されるように、自動車産業は変革の時代を迎えている点を挙げています。「個人間カーシェア」や「企業・従業員間のカーシェア」などが新たなクルマの利用形態として注目されています。同社は、個人の所有する自動車をインターネット上のマッチングプラットフォームを介して第三者が利用できるもので、こうした シェアリングエコノミーは資産の保有・利用コストの低減(分散)を通じて、我が国の諸課題の解決に資することが期待されると分析。
また、「個人間カーシェア」や「企業・従業員間のカーシェア」は、サービス利用者からシェアリング中に発生する事故やトラブルを懸念する声が寄せられているそう。車両の所有者からは、「自分で事故を起こしたわけではないので、自身が加入する自動車保険を使用したくない」「もしも車両が返却されずに持ち逃げされたら保険の対象外なので不安」などの声があるそう。
一方、カーシェア利用者からは、「万一事故を起こしてしまった場合に備えて、十分な補償が欲しい」というニーズがあるそう。
さらに、カーシェアプラットフォーマーからは、こうしたシェアリング特有の課題を解消できる保険制度を構築して欲しいという要望があったそう。業界初が盛り込まれた同保険は、キャンピングカーや軽トラックなどの多様な車種も対象にすることで、幅広いカーシェアニーズに対応。同社は、この取組は「S:シェアリング&サービス」に寄せられていた課題を解消する「社会との共通価値創造型」保険商品を提供するものと位置づけています。
(塚田勝弘)