ウィンドウの曇りとは?デフロスターかエアコンを使えばすぐに解決!【自動車用語辞典:トラブル編】

■視界不良は事故のもと、曇りや霜を除去して走行し始めることが大切

●曇りの原因結露を防止するには、湿度を下げる、外気との温度差をなくすことが有効

湿度の高い雨の日や寒い冬に、特に乗員が多いときなどに結露によってウィンドウガラスが曇ることがあります。フロントやサイドガラスが曇ると、十分な視界が確保できず非常に危険ですが、曇りの解消法を知らない人は意外と多いです。

ウィンドウガラスの曇りの発生原因と解消法について、解説していきます。

●ウィンドウガラスが曇る結露のメカニズム

ウィンドウガラスが曇るのは、結露が原因です。

結露は、空気中の水蒸気量がその温度で取り込むことができる限界量(飽和水蒸気量)を超えてしまい、超えた水蒸気が凝結して水滴となる現象です。

空気が含むことができる飽和水蒸気量は、温度が高いほど多くなります。例えば、気温5℃の6.8g/m3に対して、30℃では30.3g/m3で水蒸気を4.5倍多く含むことができます。

身近な結露は、夏に冷たい水をコップに入れると、コップの表面に水滴が付く現象で見られます。コップ周りの空気が急激に冷やされ、それまで空気に含まれていた水蒸気を含むことができなくなり、水滴としてコップ表面の水滴になるのです。冬にストーブなどで部屋を暖めると、ウィンドウガラスに水滴が付くのも同じ現象です。

車でも同様の結露が発生して、ウィンドウガラスに小さな水滴が付きます。

結露の発生メカニズム
結露の発生メカニズム

●クルマで発生するウィンドウガラスの曇り

クルマでウインドウに曇り(結露)が発生するのは、以下の条件です。

・車室の湿度が高い

・車室内と外気の温度差が大きい

湿度が高いのは雨天や梅雨時など、また乗員が多い場合も人の呼気で湿度と温度が上がり、結露が発生しやすくなります。

冬場にヒーターを付けると外気と車室内の温度差が大きくなり、結露が発生します。一方、夏場にクーラーを付けた場合も室内と外気の温度差は大きくなりますが、結露は発生しません。ガラス外側表面には、空気の流れがあり乾燥状態になるためです。

●曇りを除去する方法

曇りを除去する方法は、結露が発生しないように車室内の湿度を下げる、車室内と外気の温度差をなくすことです。

もっとも簡単なのは、ウィンドウガラスを開ける、外気導入にして車室内の湿度を下げる方法ですが、梅雨時など外気の湿気が高い場合は効果がありません。また、寒い冬に窓を開けて走行するのは現実的ではありません。

内気循環でエアコンを使う方法もあります。エアコンを効かすと除湿機能が働くので、吹き出しをフロントガラス下面にすれば結露を防ぐことができます。

エアコンは、エバポレーターで気化するときの気化熱で空気を冷却し、同時に空気の水蒸気も除去して除湿します。アイドルのエアコン作動時にエンジンルームの下の地面が水で濡れるのは、エバポレーターで凝縮付着した水分が地面に落下するためです。

もっとも一般的で速効性のある方法は、ほとんどのクルマに装備されているデフロスター機能を使うことです。デフロスターは、エアコンで除湿した暖かい空気をフロントガラスやサイドガラスのドアミラー付近に集中的に吹き出させるシステムです。結露したガラス面の水分を乾燥させて曇りを除去します。

リアガラスの曇りを除去するのは、熱線デフォッガーが使われます。ガラスにプリントされた熱線でガラス表面の温度を上げて曇りを除去します。電力消費量が大きいので、長時間の使用は控えた方がよいです。

エアコンシステム
エアコンシステム

デフロスターもデフォッガーもインパネ内にスイッチがあり、簡単に操作できます。

ウィンドウガラスの曇りや冬場に霜が付いた状態で走行しているクルマを時々見かけます。非常に危険ですし、実際に視界不良が原因の事故も散発しています。

安全走行のためには、走行前にデフロスターとデフォッガーを使って曇りや霜を完全に除去して、走行し始めることが大切です。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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