【自動車用語辞典:センサー「圧力センサー」】-30℃から300℃超という過酷な環境で正確な圧力を測る

■基幹部品であるエンジン、トランスミッション、ブレーキの制御に不可欠

●小型で高精度の計測ができる半導体ピエゾ抵抗センサーが主流

圧力センサーは、エンジンやトランスミッション、ブレーキなどクルマの基幹部品に使われています。単に部品が壊れないように保証するモニターの役目だけでなく、エンジンやクルマのさまざまなシステムの効率向上のための重要な制御因子として使われます。

気体および液体の圧力を計測する圧力センサーについて、解説していきます。

●圧力センサーの採用例

圧力センサーは、数多くの基幹部品やシステムで採用されています。温度センサーとともに主要な部品が壊れないようにモニターする役目と、燃費特性や排ガス特性のための最適な制御や安全な車両制御のための圧力情報を提供する重要な役目を担っています。

代表的な圧力センサーの使用例は、以下の通りです。

・エンジン

吸気マニホールドの吸気圧力や過給圧、エンジン油圧、燃料噴射装置の燃料噴射圧など

排気管内の圧力やDPF(ディーゼルパテキュレートフィルタ)内の圧力

・トランスミッション

トランスミッションの潤滑油圧や制御圧

・ブレーキ

ABS(アンチロックブレーキ)、ESC(横滑り防止)など車両制御のためのブレーキ油圧

・エアコン

冷媒の圧力

●圧力センサーに求められる性能

クルマ用圧力センサーは、気圧と液圧の両方に対応するため、高圧中では耐久性が、液体中では耐腐食性が要求されます。また、限られたスペースに装着できるように小型であることも重要です。

使用温度は、-30℃から300℃を超えるような厳しい使用環境で、高い検出精度も必要です。通常は、1~2%FS(フルスケール)の高精度が要求されます。

参考に、代表的な圧力センサーの計測圧力と使用温度域の例を、以下に示します。

・ディーゼルコモンレール圧力  :~200MPa (温度:-30℃~120℃)

・ガソリン直噴噴射圧力     :~20MPa (温度:-30℃~120℃)

・パワーステアリング圧力    :~7MPa (温度:-30℃~120℃)

・エアコンの冷媒圧       :~3.5MPa (温度:-30℃~135℃)

・サスペンション・ダンパ圧力  :~2MPa (温度:-30℃~120℃)

・高地補正用大気圧       :~100kPa (温度:-30℃~90℃)

・エバポレータ―圧力      :~5MPa (温度:-30℃~120℃)

●半導体圧力センサー

圧力センサーとしては、セラミック圧電型、静電容量型、半導体ピエゾ抵抗型などがありますが、通常クルマ用としては半導体ピエゾ抵抗型が多用されています。

半導体ピエゾ抵抗型の圧力素子の基本素子は、起歪体と歪ゲージで構成されます。起歪体は内部が空洞になっており、上部の円盤部が圧力を受けて上下に歪ます。円盤部の厚みで歪量が変化するので、計測の圧力レンジの調整ができます。

起歪体の上の薄膜歪ゲージが印加された圧力に応じて歪み、それに応じて抵抗値が変化します。抵抗値変化をホイートストンブリッジ回路によって電圧として検出します。

出力電圧を歪に変換して、精度良く圧力を求めます。

半導体ピエゾ抵抗型圧力センサー
半導体ピエゾ抵抗型圧力センサー

高度化するエンジンやクルマの制御技術に対応して、圧力センサーは温度センサーとともに採用数が増えています。同時に、計測精度は性能や効率に直結するので、高い精度も求められます。

現在は、半導体ピエゾ抵抗型に検出回路を一体化した小型で精度の高い集積型圧力センサーが主流となっています。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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