コペンGRスポーツはボディがシャキッ!固めの足&シートポジションはまさにスポーツカー【清水和夫StartYourEnginesX】

■ダイハツ×GRチームとのコラボで生まれた「コペンGR SPORT」

●ボディがシャキッ!

さぁ、コペンGR。ダイハツのコペンとトヨタのGRブランド、チームとのコラボレーションで作られた、軽自動車規格のスポーツカーですね。

このセグメントもホンダのS660とダイハツのコペンがあったんですけど、お互いに冷え切っちゃって月販300台以下くらいにまで落ち込んでたところに、このGRが登場してなんと!今、月販700~800台くらい売れているといいます。

意外と人気あるんですよね、この小っちゃいスポーツカー。

コペンGRスポーツのリヤビュー
足まわりは固いんだけど、ダンピングが良いから不快な感じはあまりしないです。

これは絶対にオープンカーじゃなきゃダメなので、オープンカーで走る楽しさ、プラス2シーターのダイナミックなスポーティさっていうのがウリです。

価格的にはオプション入れて260万円くらい? このカーナビがカープレイじゃないから多分、高いんだな! この辺は自動車メーカーも解放して、全部グーグルでいいんじゃないか!? と思うんですよね。けっこうこれでオプション価格20~30万円いっちゃう、かな。

コペンGRスポーツのコクピット
ステアリングにはMOMO製革巻きが装着されます。
コペンGRスポーツのエンジン
直3・660ccインタークーラーターボです。自主規制を外してモアパワ~!

パワートレインはコペンそのものなんですが、ボディのフロアのところに少し補強を入れながら、オープンカーのブルブル…みたいなのを抑えています。

元々ノーマルのコペンって固かったので、その固さを取るとヘロヘロになる、というところが限界点だったんですけど、サスペンション、ダンパーを見直してフロアに補強材を入れて、全体的なボディ剛性を上げた…というよりも、ヘロヘロにならないようなしっかりしたタイヤの接地感みたいなものを実現していますね。

タイヤ&ホイール
BBS製鍛造16インチホイールが付きます。

いずれにしても、200万円台半ばくらいの価格帯でこのオープン2シーターを乗れるということは、ノーマルのコペンではちょっとパフォーマンス的に足りないな、というところがあったと思うんですけど、今回、シャシー性能が上がったことによってハンドリングがかなり気持ちよくなりましたね。

この辺が新しいGRブランドとしてのこだわりと、コペンの持っている良さが上手くドッキングした、両者のコラボレーションモデルだと思います。

試乗する清水和夫さん
固めの足まわりだけど、イヤな感じはしないです。

ダイハツのロッキーが3気筒1000ccのターボ、コッチが3気筒660ccのターボで、軽自動車の自主規格で64psくらいなところにみんな落ち着いているんですね。もしその自主規制が無ければ80psくらいは出ますから、もうちょっと660ccターボの出力を絞り出したい気はします。

GRってガチガチのスポーツモデルというイメージがありますが、実際はそうではなく、安心と快適性と楽しさ、そこが上手く両立している走りになっています。

コペンGRスポーツのシート
コペン専用のレカロ製シートにはGRロゴが付きます。

やっぱりこのクルマがスポーツカーだなと思うのは、ドライビングポジションです。

足が公園のベンチに座っているような感じじゃなくて、足をストレートに伸ばしています。まさにレーシングカー的なドライビングポジションですよね、シート位置が低くて。実は座った瞬間に、普通のクルマなのかスポーツカーなのか? ドライバーをどう座らせるか?といったところが重要です。

●コペン・ローブだって普通に乗るには快適! ちょっとフットワークチューンをしてもいいけど

今乗っているのはコペン・ローブですね。このモデル、2014~2015年くらいに出ているそのままの状態です。今回のGRとの違いを味わうためにちょっと借り出して乗っています。

ステアリングホイールそのものが、もう令和の時代になりましたけど、平成の時代のクルマだなって感じですね。

コペン・ローブ
ベースとなるコペン・ローブ、平成な感じがしますが、平たんな道ならノーマルでも十分です。ちょ~っとフットワークチューンしたいけど。

でもエンジンは同じですから、まぁ同じというか4~5年の間、特に大きな進化はしていないというか変えていないというか。なにせ軽自動車枠、660cc・64ps自主規制があるので、そんなに大きく手を入れることは出来なかったのだと思いますが。まぁメーターもアナログメーターできめ細かくきってあって、その辺も平成時代のクルマだな、って気はします。

でも4~5年経ったクルマだという感じはしないですね。今でも現役でこのローブは頑張れそうな気がします。

ただちょっと跳ねるね。段差乗ったときの固さとピョコンと車体が跳ねる感じがあるので、この辺はさすがGRだとボディとかサスペンションとか手を入れて地面に吸いつくような感じの接地性に上げていますね。

ローブは路面次第でチョコチョコチョコチョコ、そろばん板みたいな上に乗っちゃうと自分がピストン運動するみたいな動きになっちゃう。そんな限界点は感じられます。だから道のいいところを走る限りは、このベースのコペンでもイケている感じはありますよね。

今乗っているコペン・ユーザーは後付けの部品を、GRがそういうビジネスをやるかどうかは分かりませんけど、部品を買って後付けで少しチューンアップできるようなら、それもまた楽しいですよね。TRDから部品出ているのかな?

(試乗&レポート:清水 和夫/アシスト:永光 やすの/動画:StartYourEnginesX/取材協力:ダイハツ工業)

コペンGRスポーツ
GR SPORTのロゴが光ります。

【SPECIFICATIONS】
車名:コペン GR SPORT
ボディサイズ(mm):全長3395×全幅1475×全高1280
ホイールベース:2230mm
トレッド 前/後: 1310mm/1295mm
車両重量:850kg
エンジン:直列3気筒DOHCインタークーラーターボ
エンジン排気量:658cc
ボア×ストローク:63.0×70.4mm
最高出力:47kW(64ps)/6400rpm
最大トルク:92Nm(9.4kgm)/3200rpm
圧縮比:9.5
使用燃料&燃料タンク容量:無鉛レギュラーガソリン&30L
トランスミッション:CVT(7速スーパーアクティブシフト付)/5速MT
駆動方式:前輪駆動(FWD)
サスペンション F/R:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ F/R:ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング
タイヤサイズ F/Rとも: 165/50R16 75V
燃料消費率 WLTCモード:18.6km/L
車両本体価格(税込):CVT仕様 2,380,000円/5速MT仕様 2,435,000円

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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