ベレット、ジェミニ、コンテッサ…兵どもが夢の跡!【昭和平成のクラシックカーフェスティバル・いすゞ/日野/ダイハツ】

■いすゞと日野が乗用車を作っていた時代が懐かしい!

●昭和平成のクラシックカーフェスティバルinキャッセ羽生

現在は乗用車生産をしていない自動車メーカー、いすゞは終戦後しばらく経った1953年に早くも乗用車の生産を始めます。それがイギリス・ルーツグループとの提携で実現したヒルマン・ミンクスのノックダウン生産でした。こちらは佐野のイベントでも見かけた、50万キロ以上走行しているヒルマン・ミンクスです。

ヒルマン・ミンクス。
ヒルマン・ミンクス。

ヒルマン・ミンクスのライセンスが切れると、いすゞは自社開発の高級車ベレルを発売します。ベレルはタクシー業界に好評でしたが、一般向けのモデルとして1963年に小型セダンのベレットを発売します。1973年まで生産された長寿モデルのベレットにはスポーツモデルも追加されました。こちらはその究極的な存在であるベレット1600GTRです。いすゞ初のDOHCエンジンを搭載していました。

いすゞベレット1600GTR。
いすゞベレッ1600GTR。

ベレット1600GTRに搭載されたDOHCエンジンは、1968年に発売された美しいクーペ、いすゞ117クーペのために開発されたものでした。117クーペはジウジアーロが描いたスタイルを忠実に再現するため、1973年までボディを手作りで生産していました。こちらがそのハンドメイド・タイプでフロントバンパー上にウインカーがあるのが識別点です。

いすゞ117クーペ。
いすゞ117クーペ。

長寿モデルだったベレットの後継車が当初はベレット・ジェミニと名乗ったジェミニです。提携関係にあったGMとの共同開発で生まれたグローバルカーで、オペル・カデットと共通のモデルです。こちらは1979年のマイナーチェンジでフロント部分が逆スラントになった後期型です。フェンダーや前後バンパーなどカスタムされています。

いすゞジェミニ。
いすゞジェミニ。

いすゞ同様に現在は乗用車を生産していませんが、日野自動車も過去には乗用車を生産していました。その代表モデルがコンテッサ1300です。

1964年に4ドアセダンが発売されたリヤエンジン方式のモデルで、美しいデザインはジョバンニ・ミケロッティによるものです。コンテッサ1300は1965年に2ドアのコンテッサ1300クーペを追加しています。このクーペではエンジンを高圧縮化してパワーアップを図るなど、随所にスポーツモデルらしい変更が盛り込まれました。写真はアルミホイールを履いたくらいで非常にオリジナル度が高く、フルレストアされた1台です。

日野コンテッサ1300クーペ。
日野コンテッサ1300クーペ。

美しいスタイルで多くのファンを獲得したコンテッサ1300ですが、日野自動車がトヨタと提携したことで乗用車生産を中止します。その後も長くコンテッサは支持され、中にはカスタムを進める個体もありました。こちらはメッキパーツをブラック塗装としてドアミラーにするなどのモディファイが目立ちます。

日野コンテッサ1300クーペ。
日野コンテッサ1300クーペ。

いかに主催者が配慮しても、なかなか旧車イベントで多数派にならないのがダイハツです。今回はわずかに2台が参加しただけでした。そしてその2台ともが、ミラ・ウォークスルーバンだったというのが不思議なものです。

まずこちらはターボモデルと同じボンネットに変更したり、ハヤシストリートのアルミホイールを履くなどスポーティにカスタムされています。水戸藩というスーパーカブのクラブ員がオーナーのようです。

ダイハツ・ミラ・ウォークスルーバン。
ダイハツ・ミラ・ウォークスルーバン。

続くこちらはボンネットだけ黒くしたオリジナル度の高い個体です。 スチールホイールを赤く塗装するなど、カラーリングで遊び心地を演出しています。

ダイハツ・ミラ・ウォークスルーバン。
ダイハツ・ミラ・ウォークスルーバン。

●昭和平成のクラシックカーフェスティバルinキャッセ羽生
・開催日:2020年3月7日
・開催場所:キャッセ羽生(埼玉県)
・主催:日本旧軽車会、オール日本ライフクラシックカー倶楽部

(文と写真:増田満)

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この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
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