■マツダのスカイアクティブアーキテクチャーは理想の運転姿勢を追求
運転支援システムの充実したクルマの購入をサポートする「サポカー補助金」は、年式の進んだクルマに乗っていて買い替えを検討していた高齢ドライバーにとって朗報と言えるでしょう。
高齢ドライバーのみならず、ヒューマンエラーによる交通事故を減少させるためには、様々な運転支援システムが高級車だけでなく、軽自動車まで幅広い車種に装着されて普及させることが必要だと考えられます。
しかし、それだけでは十分ではないと考えているのがマツダです。マツダでは全乗用車が「サポカーSワイド」に対応していますが、そうした運転支援システムの充実とともに取り組んでいるのが、人間中心思想によるドライビングポジションなのです。
すべての「走る歓び」は正しいドライビングポジションから生まれると提唱しているマツダ。この正しいドライビングポジションを作り出すためにクルマの骨格部分からこだわっています。
その一例と言えるのが、ペダルのレイアウトです。
今回、古いアクセラと新型のマツダ3セダンを乗り比べましたが、乗ってすぐに感じたのが、古いアクセラは、右前輪のタイヤハウスが出っ張っていてペダルレイアウトが左側にずれていました。
ドライバーがシートに座ってアクセルペダルを踏む時、すでに体は左側にねじれていてブレーキを踏むとさらにねじれてしまいます。このような姿勢では正しい操作ができずにペダルの踏み間違いが起きやすくなるのです。
一方の新型マツダ3は右フロントタイヤが50mm前方に移動したため、ホイールハウスの干渉が無くなり、シートに座り自然に右足を前に投げ出すとアクセルペダルがあるという作りになっています。マツダは、正しいドライビングポジションのために、開発段階からクルマの基本骨格まで見直しているのです。
また、アクセルペダルの形状も古いアクセラでは吊り式のアクセルペダルを採用し、新型マツダ3セダンでは、オルガン式のペダルと異なっています。
吊り式のアクセルペダルだと、ペダルの動きに合わせて、右足のかかとが前に移動してしまい、回転の中心が爪先となってしまいます。一方のオルガン式ペダルはペダルの回転の中心はかかとにあるため、かかとは安定し、人間の足首の動きに連動して操作を行うことができるのです。
右フロントタイヤの位置やオルガン式アクセルペダルだけでなく、マツダのクルマには運転席には前後のスライドに加えて、上下に動くシートリフター機能、そしてステアリング位置を細かく制御できるチルト・テレスコピック機能をほとんどのクルマに採用しています。
電子デバイスの開発だけでなく、ドライバーが緊張せずにリラックスした状態でドライブできるように、マツダはクルマの骨格から開発しているのです。こうしたクルマ作りが運転の楽しさを提供するだけでなく、安心・安全にも大きく影響を及ぼしているのです
(萩原文博)