人間中心のドライビングポジションがクルマを安全に走らせる要だ!【新車】

■マツダのスカイアクティブアーキテクチャーは理想の運転姿勢を追求

運転支援システムの充実したクルマの購入をサポートする「サポカー補助金」は、年式の進んだクルマに乗っていて買い替えを検討していた高齢ドライバーにとって朗報と言えるでしょう。

高齢ドライバーのみならず、ヒューマンエラーによる交通事故を減少させるためには、様々な運転支援システムが高級車だけでなく、軽自動車まで幅広い車種に装着されて普及させることが必要だと考えられます。

しかし、それだけでは十分ではないと考えているのがマツダです。マツダでは全乗用車が「サポカーSワイド」に対応していますが、そうした運転支援システムの充実とともに取り組んでいるのが、人間中心思想によるドライビングポジションなのです。

すべての「走る歓び」は正しいドライビングポジションから生まれると提唱しているマツダ。この正しいドライビングポジションを作り出すためにクルマの骨格部分からこだわっています。

マツダ3の外観
第七世代と呼ばれる最新モデルがマツダ3が第1弾となる

その一例と言えるのが、ペダルのレイアウトです。

マツダのクルマ造りの哲学06
車両構造技術「スカイアクティブアーキテクチャー」はマツダ3から採用

今回、古いアクセラと新型のマツダ3セダンを乗り比べましたが、乗ってすぐに感じたのが、古いアクセラは、右前輪のタイヤハウスが出っ張っていてペダルレイアウトが左側にずれていました。

マツダのクルマ造りの哲学05
旧型アクセラのペダルレイアウト。右フロントのタイヤハウスが出っ張っている。

ドライバーがシートに座ってアクセルペダルを踏む時、すでに体は左側にねじれていてブレーキを踏むとさらにねじれてしまいます。このような姿勢では正しい操作ができずにペダルの踏み間違いが起きやすくなるのです。

マツダのクルマ造りの哲学04
マツダ2のペダル配置。コンパクトカーながらホイールハウスの干渉はない

一方の新型マツダ3は右フロントタイヤが50mm前方に移動したため、ホイールハウスの干渉が無くなり、シートに座り自然に右足を前に投げ出すとアクセルペダルがあるという作りになっています。マツダは、正しいドライビングポジションのために、開発段階からクルマの基本骨格まで見直しているのです。

また、アクセルペダルの形状も古いアクセラでは吊り式のアクセルペダルを採用し、新型マツダ3セダンでは、オルガン式のペダルと異なっています。

吊り式のアクセルペダルだと、ペダルの動きに合わせて、右足のかかとが前に移動してしまい、回転の中心が爪先となってしまいます。一方のオルガン式ペダルはペダルの回転の中心はかかとにあるため、かかとは安定し、人間の足首の動きに連動して操作を行うことができるのです。

マツダのクルマ造りの哲学03
多くのマツダ車のフロントシートには前後のスライドだけでなく、上下も調整できるリフター機能を装備
マツダのクルマ造りの哲学02
2シーターオープンのロードスターにもテレスコピックが採用された

右フロントタイヤの位置やオルガン式アクセルペダルだけでなく、マツダのクルマには運転席には前後のスライドに加えて、上下に動くシートリフター機能、そしてステアリング位置を細かく制御できるチルト・テレスコピック機能をほとんどのクルマに採用しています。

マツダのクルマ造りの哲学01
新しく採用された後側方接近車両検知(RCTA)

電子デバイスの開発だけでなく、ドライバーが緊張せずにリラックスした状態でドライブできるように、マツダはクルマの骨格から開発しているのです。こうしたクルマ作りが運転の楽しさを提供するだけでなく、安心・安全にも大きく影響を及ぼしているのです

(萩原文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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