【自動車用語辞典:インターフェイス「メーターと表示方法」】運転に必要な情報を分かりやすく表示する工夫

■多くの表示に留意してエコ運転や安全運転に活用

●基本的な表示は、スピードメーターやタコメーター、燃費計、燃料量計など

インパネ(インスツルメントパネル)には、車速を示すスピードメーターやエンジン回転数を示すタコメーター、特定期間の燃費を示す燃費計、燃料の残量を示す燃料量計、走行距離を示すオドメーターなどが搭載されています。

各種メーターとその表示値の算出法について、解説していきます。

●いろいろなメーターが配置

インパネには、運転に必要な多くのメーターや警告灯が搭載されています。

通常は、車速のスピードメーター、エンジン回転速度のタコメーター、燃費計、燃料タンクの残量を示す燃料量計、EVやPHEVではバッテリ容量、走行距離を示すオドメーターとトリップメーター、エンジン水温計などです。

スピードメーターやタコメーターは、一時期バーの長さや数値で示すデジタル方式もありましたが、現在は直感的に認識しやすい針で示すアナログ式が主流です。液晶画面でもデジタルでなく、多くは針を表示したアナログ方式になっています。

また最近は、マルチインフォメーションディスプレイを採用しているクルマが増えています。インパネ内に液晶表示などで、燃費や安全関連、メンテナンス、EVなど電動車ではエネルギーフローなどの情報を切り替えて表示します。運転状況に応じて、自動で切り替わるタイプもあります。

●スピードメーター

スピードメーターで表示される車速は、タイヤの回転速度から算出します。

タイヤの回転速度が分かれば、車速は次の式で求まります。

車速km/h = 3.1416 x (タイヤ外径m) x (タイヤの回転速度rpm)/60 x 1/1000

タイヤの回転速度は、ABS(アンチロックブレーキシステム)用の磁気センサー(車輪速センサー)で計測します。車輪とともに回転するギヤと磁気センサーを車軸に取り付け、ギヤの回転によって磁気センサーに発生するパルスをカウントすることで回転速度を求めます。

スピードメーターの構成
スピードメーターの構成

●タコメーター

タコメーターは、エンジンの回転数を表示します。エンジン回転は、運転に必ずしも必要な情報ではないので、表示されないクルマの方が多いかもしれません。

エンジン回転数は、エンジンのクランクに取り付けたクランク角センサーで検出します。計測原理は、車輪速センサーと同じです。クランクセンサーの出力は、ECUに入力されて燃料噴射や点火時期など制御のベースとなる重要な信号です。

●燃費

燃費は、ECUの噴射信号を用いて算出します。

平均燃費[km/L]は、エンジンECUの燃料噴射信号(燃料を噴射している時間)から求めた噴射量と、車速センサーから求めた走行距離を使って算出されます。

瞬時燃費[km/L]は、短期間(2~3秒)の噴射量と走行距離から算出し、計測結果を順次更新ながらメーターに表示します。

●燃料量

通常タンクの燃料量は、通常はバーの長さで表わします。

燃料タンクに浮かべたフロートの動き(上下移動量)を電気的に検出して、燃料タンクの残量を表わします。

精度が高くないのであくまで目安ですが、走行中に燃欠になると危険なので重要な表示項目です。

安全サイドで、燃料残量の警告灯が点灯しても5L程度の燃料が残っているのが一般的です。

●オドメーターとトリップメーター

オドメーターの表示は、そのクルマが生産されてから今までに走行した総走行距離、トリップメーターは一定期間の走行距離を表示します。

走行距離は、車輪速センサーから求めた車速とタイヤ外径から算出します。


インパネに多くの情報が表示されるようになり、システム側から低燃費運転や安全運転をコーチングしてくれる機能も装備されるようになりました。

誰にも同じ量の情報量が与えられますが、どれだけ有効に活用するかがポイントです。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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