電動モデルならではの精密制御が雪道でも安定走行をもたらす【日産インテリジェントスノードライブ2020】

■リーフとノート&セレナのeパワーは雪道でもラクラク

恒例となっている日産のスノードライブ。2020年は昨年に引き続き、北海道江別市で開催されました。さまざまなクルマが用意されましたが、ここでは電動系モデルのリーフ、ノートeパワー、セレナeパワーでの印象をお伝えします。

リーフ スノードライブ
出力調整幅が大きいリーフ

電気モーターは起動時から最大トルクを発生するという特性があるため、雪道などでそのまま使うと駆動輪に一気にトルクが掛かってしまい、かえってコントロールが難しくなります。しかし、実際のEVは緻密なトルク制御が行われているため、雪道でも非常に運転がしやすいものとなります。

リーフやノート、セレナのeパワーは1万分の1秒単位でトルク制御を行い、アクセル操作と駆動トルクの間に介在させることで、適正な駆動力をタイヤに伝えています。同様のことはエンジン車のトラクションコントロールなどでも行われますが、エンジンのトルク制御では1万分の1秒などという緻密さは不可能で、こうしたコントロールができるのもEVならではなのです。

EVシステム
電動車は細かいトルク制御ができる
EV 1ペダルドライブ概念図
1ペダルドライブでも雪道で安心感のあるドライブが可能
ノートeパワースノードライブ
ノートeパワーもスノードライブを行いやすい

定常円のコースでリーフを走らせ、横滑りが強くなってくると、見事なほどに出力が制限されます。アクセルペダルを床まで踏み込んでも、まったく出力がでない状態となります。おもしろいのは、この状態からアクセルを戻してくると、出力が上がってくることです。

一方、スラロームとブレーキのコースでは、リーフのトルクのあるフィーリングは乗りやすい印象です。eペダルをオンにしたワンペダルモードでは、アクセルオフで荷重移動がやりやすくなり、スラローム時の姿勢を作りやすいのです。

一般道の試乗ではノートeパワーNISMOが用意されていました。NISMOにはノーマルのノートeパワーには用意されていない走行モードがあります。ひとつはスポーツドライブをより強調するモード、そしてもう一つが駆動力と回生ブレーキ力を雪道とマッチングさせた「雪道走行モード」です。

「雪道走行モード」では、全体におっとりした乗り味になりますが、その名の「雪道」では効果は薄く感じます。どちらかというともっと厳しい路面の「氷盤路」では真価を発揮しそうです。また「雪道走行モード」はBレンジ+ECOモードの組み合わせなのですが、どこにも「雪道走行モード」を示すインジケーターの点灯などがなく、わかりにくいのが残念な部分です。

ノートeパワーNISMO
雪道走行モードがあるノートeパワーNISMO
ノートeパワーNISMO 雪道走行モード説明
雪道走行モードはBレンジ、ECOモードの組み合わせ

(文・諸星陽一)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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