●軽自動車特有の未使用中古車などの影響により、ベース車の相場は高め
2020年1月29日、マツダはSUVタイプの軽乗用車「フレアクロスオーバー」をフルモデルチェンジして、2月27日より販売開始します。
皆さんご存じのとおり、このフレアクロスオーバーはスズキハスラーのOEM供給車で、エンブレムや設定されている装備などに多少の違いはありますが、中身は同じクルマです。
軽自動車を中心に、このようなOEM供給ということが盛んに行われています。そこで、基本的な性能は同じのベース車とOEM供給車では、中古車相場などが変わるのかを調べてみました。
まずはフルモデルチェンジしたばかりのスズキハスラーとマツダフレアクロスオーバーです。2014年〜2019年まで販売された初代ハスラー。ハイトワゴンにSUVテイストを取り入れたモデルとして大ヒットしました。
ハスラーには5速MTを搭載したグレードが用意されていましたが、フレアクロスオーバーは設定がないなどグレード構成がかなり絞られていました。
ただ、ヒットしたハスラーの納車が長期に渡っているときにマツダのディーラーは、初代フレアクロスオーバーならば納車が短いとアピールして販売台数を稼いだというエピソードは当時話題となりました。
現在、初代ハスラーの中古車は約3120台流通していて、平均走行距離は約1.5万kmです。中古車の平均価格は約114万円で、価格帯は約43万〜約250万円となっています。高価格帯にはリフトアップしたカスタマイズカーや走行距離の短い、いやゆる未使用中古車が大量に出回っているのが特徴です。
一方のOEM供給車のフレアクロスオーバーの中古車の流通台数は約235台とハスラーの1/10以下と少なめです。中古車の平均走行距離は約2.9万kmと長く、その影響で平均価格も約104万円とハスラーより割安になっています。価格帯は約40万〜約157万円で、ハスラーのようなカスタマイズカーや未使用中古車はほとんどないため、平均価格は割安となっています。
続いては、ダイハツムーヴとスバルステラを見てみましょう。スバルはかつて軽自動車を自社生産していましたが、選択と集中のため軽自動車の自社開発・生産を止めてダイハツからOEM供給を受けるようになりました。
現行型ダイハツムーヴは2014年から販売されているダイハツの軽自動車のコアモデルで、ムーヴのOEM供給車がスバルステラとなります。この両車もグレード構成が異なるものの、エンブレムが異なるだけの同じクルマです。
現行型ムーヴの中古車は約2730台と非常に豊富で、平均走行距離は約9000km。そして平均価格は約107万円となっています。現行型ムーヴも未使用中古車が約600台あり、価格帯は約29万〜約198万円となっています。
一方のステラは中古車の流通台数が約180台とムーヴの1/10にも満たない台数となっています。中古車の平均走行距離は約2.4万kmと延びていることもあり、平均価格は約83万円とムーヴとかなり差が付きました。中古車の価格帯は約34万〜約149万円となっており、ムーヴのような高額車が少ないのが特徴です。
●3社にOEM供給される車種もある
最後に紹介するのは、スズキ・エブリイワゴンです。2015年2月に販売開始された現行モデルは日産、マツダ、三菱へOEM供給され、それぞれNV100クリッパーリオ、スクラムワゴン、タウンボックスとして販売されています。
現在、現行型エブリイワゴンの中古車は約580台流通していて、平均走行距離は約5000km。そして平均価格は値上がり傾向となっていて、約151万円となっています。この値上がりの原因は約300台流通している未使用中古車や、キャンピング仕様車などカスタマイズカーの影響で、中古車の価格帯は約50万〜約300万円と幅広くなっています。
一方OEM供給車の現行型日産NV100クリッパーの中古車の流通台数は約185台で、価格帯は約55万〜約189万円。現行型マツダスクラムワゴンの中古車は約25台、価格帯は約60万〜約153.5万円。そして現行型三菱タウンボックスの中古車の流通台数は約18台で、価格帯は約94万〜約198万円となっています。
人気という要素によって価格が決まる中古車ですが、OEM供給車のほうが極端に相場は安くなるということは今回の3モデルではありませんでした。しかしベース車とともにOEM供給車を探すと思わぬ掘り出し物が見つかる可能性があるかもしれません。
(萩原文博)