「軽」販売好調を手放しで喜べないサプライヤー事情とは?

自販連(日本自動車販売協会連合会)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会)のまとめによると、8月度の登録乗用車の販売が昨秋のエコカー補助金による駆け込み需要の反動で18.9万台(前年同月比-7.9%)と減少する中、軽乗用車の8月度販売台数は12.2万台(+10%)と依然好調を維持しています。 

HONDA_N_BOXTOUROKU (出展 日本自動車販売協会連合会) 

本年1-8月の累計販売台数で見ても、登録乗用車が188.9万台(-12.8%)、軽乗用車が113.4万台(+1.2%)と同傾向。

8月度のブランド別ランキングではスズキが3.5万台で首位、ダイハツが3.4万台で2位、ホンダが2.6万台で3位、日産が1.2万台で4位の順。 

1-8月累計ではダイハツが34.8万台で首位、スズキが32.6万台で2位、ホンダが25.2万台で3位、日産が9.5万台で4位の順となっています。 

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登録車に比べて車両価格や維持費で有利な軽自動車の人気は高まる一方で、8月度の新車販売で軽乗用車が占める割合は約39%、1-8月累計でも約37.5%を占有。 

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(出展 全国軽自動車協会連合会) 

また貨物車を含む2013年度の軽自動車販売累計は8月末時点で既に140万台に達しており、これまで過去最高だった2006年の約202万台を7年ぶりに更新する可能性も出て来ています。 

このように鼻息の荒い軽自動車ですが、産経新聞が伝えるところによると、消費増税への懸念から駆け込み需要で更なる販売増が予想される中、部品サプライヤーはこの好調ぶりを手放しで喜べない状況と言います。 

と言うのも、軽自動車を中心にコンパクトカーの低価格競争が激化しており、その影響が自動車メーカーを支えるサプライヤーを直撃している模様。 

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自動車メーカーは国内で登録車の販売が伸びない中、販売好調なコンパクトカーや軽自動車販売の比重を高めており、競争力維持の観点から販価を競合他車より少しでも下げるべくサプライヤーへいっそうのコストダウンを要求。 

サプライヤーは何とか利益を捻出すべく既に原材料のコストを抑えて頑張っているものの、自動車メーカーから更なるコストダウンを要求されているのが実情とか。 

他方、自動車メーカーは海外から低コストで国内同等品質の部品をグローバルで調達しており、国内サプライヤーはそちらの面でも更に追い込まれているようです。 

「利ざや」が登録車ほどに見込めない軽自動車では販売好調が必ずしもサプライヤーにとってウエルカムとは限らない現実を見過ごす訳にはいきません。 

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 (Avanti Yasunori

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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