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■特に中古車は冷却水に要注意! 最悪エンジンが割れることも!?
クルマにはおおよそ2つの水用タンクが装備されています。1つはエンジンを冷却するためのラジエター液が入っている「リザーバータンク」、もう1つはウインドウウォッシャー液が入っている「ウォッシャータンク」です。
●冷却水には適切な濃度のLLCを使いましょう
ラジエター液はLLC(ロング・ライフ・クーラント)と呼ばれる不凍液を水で薄めて充填してあります。緑やピンク、そして青などのものがあります。
きちんとした濃度のLLCが使われていればいいのですが、規定以上にやたらと薄いものや、さらにLLCではなくて水が入っているだけのものは危険です。ディーラーや自動車修理工場で点検を受けているクルマや、きちんとした中古車店で購入したクルマならまず心配ありませんが、個人売買で買ったクルマなどは一度点検しておきたいものです。
たとえば夏の間にオーバーヒートをして、とりあえず水だけを入れたクルマや、なにかのタイミングで水漏れを起こし水だけが入れられたようなクルマは危険です。ご存じのように水は摂氏0度になると凍ります。そして、凍れば体積が増えます。冷凍庫で凍らせたペットボトルがパンパンにふくれあがるように、クルマの冷却水もパンパンに膨らもうとします。
ラジエターホースなどはある程度弾力がありますが、エンジンブロックは弾力がありません。水が膨らむ力は膨大で、ときにはエンジンブロックをひび割れさせることすらあるのです。
LLCの濃度を計るのには専用の計測機が必要です。不安なときは全量交換してしましょう。LLCの主成分であるエチレングリコールは毒性があるので下水に流すことなどができませんから、DIYで行うよりディーラーや整備工場に依頼するのがいいでしょう。
●薄めたウォッシャー液だと凍結の危険性あり
もう一方のウインドウウォッシャー液ですが、こちらもウォッシャー液を水で希釈して入れることが多くなっています。ウォッシャー液もラジエター液同様に濃度が薄いと凍ってしまいます。
よくあるパターンが、ウインドウに吹き付け、広がった瞬間に凍るというものです。さらに気温が下がると、ウォッシャー液が残っているホースの中で凍結することもあります。こうなると、そもそもウォッシャー液が出てきません。その状態でウインドウウォッシャーを操作し続けるとモーターに負担がかかり壊れることもあります。
ウインドウウォッシャー液は色が濃いと濃度も濃いことになりますが、長年使っているウォッシャー液のタンクは変色していて液の色がわかりづらいことも多くあります。また、ガソリンスタンドなどで、無料で入れられるウインドウウォッシャー液もかなり薄いものが多いです。そもそもジョッキには青い色が付いていても、中身は透明な水ということもあります。真冬にそうしたものが用意されていることはないでしょうが、夏に入れてそのまま使っていなかった場合は、濃度の薄いウインドウウォッシャー液が入ったままになっているということなります。冬場はウインドウウォッシャー液も濃くするように心がけましょう。どれくらい薄めればいいか? はパッケージに記載されているはずです。
(文/諸星陽一)