マッチングのいいサイズに欧州流の使い勝手をプラス【VW T-Cross試乗】

■日本での使い勝手もいいコンパクトSUV

フォルクスワーゲンのコンパクトSUV・T-Crossの日本導入が2019年11月に発表され、2020年1月からデリバリーが始まる予定です。T-Crossは一連のVWモデルに採用されているMQBと呼ばれるプラットフォームを採用、新世代の走りや安全性などを確保しています。

Tクロス 前7/3
基本のボディカラーは8色。プラスの場合は、ドアミラー色やホイールなどの組み合わせに自由度があり、全21パターンが展開される

T-Crossのサイズは全長4115mm×全幅1760mm×全高1580mmと、比較的コンパクトで日本での使い勝手もよさそうです。試乗会場は富士五湖の山中湖だったので道路幅もそこそこあり、小さなボディがどこまで活かせるかは試しきれませんでしたが、輸入SUVでこのレベルの全幅で済むモデルは少なく、輸入SUVに乗りたいと考えている人達にとっては朗報と言えるでしょう。

Tクロス 正面スタイリング
全幅は5ナンバー枠を超える。全体的にはコンパクトだが、都内の狭い道などでは少し持て余す
Tクロス 後7/3
プラスのタイヤは215/45R18サイズ。標準の1stは205/60R16

搭載されるエンジンは1リットル・3気筒ターボの116馬力で、組み合わされるミッションはデュアルクラッチ式の7速DSGとなります。エンジンの吹け上がり缶はかなりスムーズで3気筒のデメリットを感じさせません。また、116馬力/200Nmのパワー&トルクは実用には十分なものです。若干のターボラグがあり、キビキビと走らせるにはエンジン回転の高めキープが必要ですが、普段使いには何ら問題はありません。

エンジンにちょっとクセがあるのは、上手に走らせるにはちょっとしたテクニックが必要(といっても高度ではない)で、そこもクルマ好きを取り込める大きなポイントと言えます。

Tクロス インパネ
アクセントカラーが入るのは上級のプラス。プラスの場合はパドルシフトも付く
Tクロス エンジン
3気筒のデメリットを上手に消しているエンジン

使い勝手はかなりいいものです。ラゲッジスペースは標準状態で455リットルを確保。ちょっと荷物が多いときにはデッキパネルを下段にセットすることで容量をアップできますし、リヤシートを折りたためば最大1281リットルの荷室を作り出すこともできます。

Tクロス ラゲッジ片倒し
ラゲッジスペーススペースの拡大は6対4。拡大時のフラット性もいい
Tクロス ラゲッジ最小
この状態で455リットルのラゲッジスペースを確保

価格はベースモデルとなるTSI 1stが299万9000円、上級のTSI 1st Plusが335万9000円です。たしかに輸入SUVとしてはリーズナブルな部類に入るのですが、このクラスだとダイハツ・ロッキーが170万円から、トヨタ・ライズが167万円~と100万円以上安いスタートプライスとなっています。となると、絶対値としての買い得感はちょっと低めとなってしまいます。というか、ロッキー&ライズが劇的にリーズナブルな存在と言った方がいいのかも知れません。

Tクロス リヤシート
左右とセンターのヘッドレスト色を変えるなど、遊び心にあふれるデザインのリヤシート
Tクロス フロントシート
ホールド性のいいシートと、タップリとした調整幅を持つチルト&テレスコピック機構付きステアリングは、欧州車らしいもの

(文・写真/諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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