●二輪車「KATANA」のイメージを最大限に再現したボディ
1月10日から12日まで開催された東京オートサロン2020。メーカー系出展車の中から、とくに興味深いスタイルのクルマについて担当デザイナーに突撃インタビュー!
今回はスズキブースから、二輪車とのコラボレーションという斬新な企画に挑んだ「スイフトスポーツ KATANA EDITION」を直撃しました。
── では最初に。今回、スイフトを二輪車とコラボレーションしようと思ったきっかけは何だったのですか?
「今年は弊社が100周年を迎えるということで、ブースを四輪、二輪、マリンという総合モビリティメーカーとして演出する計画でした。その際、二輪と四輪のコラボもあり得るだろうという提案がありまして、じゃあ毎回オートサロンを飾るスイフトスポーツと、昨年発売したKATANAを組み合わせることで新しいスポーティさが表現できると考えたわけです」
── 実際に両車をコラボしようとなったとき、造形的なテーマやキーワードは何か掲げたのでしょうか?
「KATANAの文字通り鋭利でシャープな造形や、リア周りのタンクなど、独自のグラマラスな表現を強調することをテーマにしています。とくに、フロント周りやフェンダーの造形に注力することとしました」
── そのフロントフェイスですが、下半分が大きくエグられたような表現が特徴的ですね
「KATANAの特徴として、タンクからシートに流れる上面に対して、その下の部分はブラックで抜いているんですね。それをスイフトのフロントで表現してみようと。張り出したアッパーグリルに対し、アンダー部分はボリューム感を抜いて共通したコントラストを作っています」
── 強調されたフェンダーですが、フロントはボディとの一体感を持たせているのに対し、リアは後付けというか別体感を持たせていますね
「当初は前後とも別体表現で進めていたのですが、最近のストリート系カスタムカーでは、あえて前後で表現を変えて特徴を出している流れがありまして、チームとしてもそこが気になっていた。同時に、KATANAもフロントのシルバーに対しリアはブラックになっていて、その共通性も意識しました」
── リアは一面マットなブラックになっていますが、これもKATANAの要素をストレートに出したのでしょうか?
「そうですね。ただ、ブラックの面積についてはいろいろと試したのですが、KATANAと同率の面積で考えてしまうと、あまりにも広過ぎてボディ前後がチグハグになってしまったんです。で、少しずつ面積を減らして行き、KATANAのイメージがなくならないギリギリの広さにしています。いずれにしても、クルマでここまで広くブラックに塗るのはチャレンジングでしたね」
── インテリアではオリジナルの部分はありますか?
「インパネとドア、コンソールに、マフラーが熱せられたときのグラデーション色を施したプレートを置いています。CMFの塗装技術としては従前からありましたが、四輪の内装に使ったのは今回が初めてですね」
── ボディカラーやグラフィックは両車でまったく同じイメージですが、何か異なる表現はありましたか?
「基本的にはKATANAそのもののイメージを再現していますが、実はシルバー色は若干チューニングしています。二輪と四輪では面の広さがまったく違うので、そのままの色で塗ってしまうと、たとえばスイフトのエッジやシャープな部分がしっかり表現できない。そこで、光輝材を加えて少しメタリック感を強くすることで解決しています」
── 特別なスイフトということで、もっと他に差し色を入れるなどは考えませんでしたか?
「最初は、先ほどのマフラーのグラデーション色をボディでも使おうと考えたのですが、やはりKATANAと並べたときのコラボ感が落ちてしまうので、今回は実際のマフラーにのみその処理を施しています。フロントバンパー下のオレンジの差し色もそうですが、いかにKATANAとのバランスをとるかで、かなり入念に面積などを考えています」
── ボディサイドのグラフィックも、KATANAのイメージを使いつつ、スイフトとしてのバランスが図られていますね。本日はありがとうございました。
【語る人】
スズキ株式会社
四輪商品・原価企画本部 四輪デザイン部
エクステリア課 課長代理
宮澤貴司 氏(写真左)
インテリアグループ
浅倉 恵 氏(写真右)
(インタビュー・すぎもと たかよし)