ディーゼルエンジンらしからぬ超スムーズな加速フィールを引き出すモンスターSUV【BMW X3 M40d試乗】

■分厚い最大トルクは680Nm!! どこから踏んでも強烈な加速が可能

2019年9月にBMW X3に加わった「X3 M40d」は、X3では日本初導入のクリーンディーゼルエンジンと「M Performance」が組み合わされたハイパフォーマンス仕様になっています。

車両本体価格は878万円で、試乗車には有償色の「アルピン・ホワイトⅢ」や「BMW インディビジュアル・エクステンド・レザー」「イノベーション・パッケージ」「セレクト・パッケージ」「21インチ BMWインディビジュアルVスポーク・スタイリング726I」「リヤシート・バックレスト・アジャストメント(リクライニング)」というオプションが加わり、総額は945万2000円まで跳ね上がります。

BMW X3 M40d
BMW X3 M40dのフロントビュー

3.0Lの直列6気筒ディーゼルターボは、最高出力326PS/4400rpm・最大トルク680Nm/1750〜2750rpmというスペック。JC08モード燃費は14.9km/Lと、ディーゼルエンジンとはいえハイパフォーマンスを謳うモデルとしては燃費の良さも注目ポイントです。

BMW X3 M40d
BMW X3 M40dの直列6気筒ディーゼルエンジン

ハイパフォーマンスSUVにふさわしい真価を味わえるのは「スポーツ」モードで、680Nmという驚異的な最大トルクにふさわしい力感を中・低速域から存分に感じられます。ディーゼルエンジンでも中・高速域の伸びも十分に感じられ、首都高速くらいだとアクセルを床まで踏み込むようなシーンはほとんどありません。

しかも、アクセル操作に対するツキの良さもディーゼルエンジンらしからぬフィーリングで、軽快に回るエンジンは十分なエンターテインメント性も備えています。

■乗り心地はかなりハード

一方、街中では「エコプロ」モードにしていれば、エンジンサウンドも含めておとなしく走ることも可能。エンジン音からはディーゼルであることは伝わってくるものの、ロードノイズの遮断も含めた静粛性の高さも印象的。

BMW X3 M40 d
BMW X3 M40 dのインパネ

ストローク感は十分に確保しながらも乗り味はかなり引き締まっています。とくに荒れた路面を低速域でクリアするようなシーンでは、上下左右に揺すぶられますし、大きめの凹凸を踏んだ時のショックも大きめ。とくに後輪の動きが硬く感じられます。

試乗車が履いていたのは、21インチのランフラットタイヤですから当然といえるかもしれません。それでも救いなのは、ボディ剛性感の高さからくる減衰性の高さで、速度が高くなり路面状態が良ければフラット感も味わえます。

BMW X3 M40 d
BMW X3 M40 dのアルミホイール「「21インチ BMWインディビジュアルVスポーク・スタイリング726I」」

鞭を入れたときのコーナリングスピードの速さも強烈で、「Mスポーツ・ディファレンシャル」によるトラクションの高さに加えて、操舵に対して無駄な動きがなくノーズが向きを変えます。

BMWであり、さらに「M」のバッヂが付くSUVにふさわしいハンドリングは、ワインディングや首都高速のような高速コーナリングもまったく苦にしません。SUVでもロールは小さめで、しかも、高い直進安定性を備えていて、FRのSUVとして高速域の振る舞いは理想的といえます。

BMW X3 M40d
BMW X3 M40dのフロントシート

ボディサイズは全長4725×全幅1895×全高1675mmと、日本では十分にLサイズといえる大きさですが、巨体といえるX5ほどは持て余さないのは救いでしょうか。広大な後席と荷室空間も備えていますから実用性は一級品。それでもハードな乗り味も含めると、ある程度乗り手を選ぶモンスターSUVの1台とはいえそうです。

BMW X3 M40d
BMW X3 M40dのリヤシート

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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