■もはや小さな高級車!? マイナーチェンジでクオリティを大幅アップ
登場時以来、ホンダ・シャトルには何度か乗る機会があり、2019年5月にマイナーチェンジを受けた改良型に乗るチャンスがありました。最新モデルの非常に洗練された乗り心地とスムーズな走りっぷりには、心底驚かされました。法定速度+アルファ程度の高速巡航までであれば、静粛性の高さも際立っています。
今回のマイナーチェンジでは内・外装デザインのリフレッシュ、「ホンダ・センシング」にオートハイビームを追加などのほか、防音材の見直しによる静粛性の向上(HYBRID X・Honda SENSING/HYBRID Z・Honda SENSINGに設定)も盛り込んだとしています。
以前に乗った現行シャトルを思い起こして見ても「こんなに静かだった?」というほどで、風切り音やロードノイズ、ハイブリッド仕様のエンジン始動時のマナーもほぼ完璧。しかも、大きなテールゲートを持つステーションワゴンにも関わらず、ボディの剛性感も意外なほど確保されていて、ミシリともいわない走りを披露してくれます。
空荷で1人乗車だと微少な揺れを若干伝えてくるものの、5ナンバーサイズのワゴンとしては望外といっても大げさではない乗り心地の良さ。別記事の「私が選んだ2019年のクルマベスト3」にの3位にランクインさせるかかなり迷いましたが、個人的な趣味嗜好から心の中で「4位はシャトル」と決めさせていただきました。
試乗車はそのハイブリッドで、1.5Lエンジン+1モーターの「i-DCD」の洗練度も登場時よりも格段に高まっていて、ハイブリッド走行時のスムーズな走りも期待以上。トランスミッションは、高出力モーター内蔵7速DCTで、変速も非常にスムーズ。デュアルクラッチトランスミッションの割にダイレクト感は今ひとつのように感じられますが、信頼性も考慮すると納得できます。動力性能は必要十分という程度ですが、実用上不足はありません。
後席や荷室の広さも大きな美点。リヤシートのレッグスペースは、全長4.5m以下とは思えないほど広く、しかも荷室の奥行きが十分にあり、荷室幅もワイド。開口高は540mmと低く抑えられていて、重い荷物も楽に出し入れできます。
後席背もたれを前倒ししなくても9.5型のゴルフバッグが4つ入るというのは伊達ではないです。後席を前倒しして最大時にすれば、広大なスペースが広がるなど、積載力の高さはワゴンへの期待に応えてくれるはず。なお、後席はお馴染みのチップアップ(座面跳ね上げ式)&ダイブダウンで、リヤシートの前後スライドは不可となっています。
3ナンバーサイズ化されたカローラ(ツーリング)は「TNGA」化により車格を上げています。それでも走りのクオリティは、直接同じ条件下で走らせてはいませんが、フルモデルチェンジを受けたカローラ・ツーリングを上回っているかもしれません。
(文/写真 塚田勝弘)