■日本でちょうどいいサイズ感のCX-30は多彩なシーンで使える
MAZDA 3に続き、新世代商品として投入されたCX-30は、全長4395×全幅1795×全高1540mmというスリーサイズで、日本ではジャストサイズといえるクロスオーバーSUVです。衝突安全性能や居住性、積載性などへの対応から年々大型化(肥大化)する新型車が多い中、このサイズなら許容できるという方も多いはず。

オンロードの走りに重きをおいたイメージが強いマツダの各SUV。それでも、商品改良時にCX-8とCX-5に「オフロード・トラクション・アシスト(OTA)」が4WDに加わり、悪路走破性を高めるなど、ラフロードや雪上走行などにも十分に対応できるようになっています。また、CX-5は210mmという最低地上高を確保し、オフロード性能の高さを謳うモデルと遜色のないロードクリアランスを確保しています。

CX-30は175mmという最低地上高で、CX-5やCX-8よりもよりシティユース向け。それでも4WDには「オフロード・トラクション・アシスト(OTA)」が標準装備されていて、悪路での走りも気になるところです。
CX-30に与えられた試乗ステージは、オンロードと林道(オフロード)コース。多様なコーナーや勾配もあるオンロードでは、フットワークの良さと、多少引き締まっている足ですが、MAZDA 3よりも若干乗り心地の良さが伝わってきます。
操舵感もとてもナチュラルで、ドライバーが気張ることなく運転でるのが美点です。また、1.8Lの直列4気筒直噴ディーゼルターボは、116PS/270Nmのアウトプットからも分かるように、ディーゼルらしいトルク感により中・低速域の力感が魅力。勾配の多いシーンでも軽快な走りを引き出せます。
■急勾配の林道でも難なく走破可能
続いては、急勾配が続く林道コースで、オフロード性能をテスト。CX-5、CX-8よりも最低地上高が低いため、試乗ステージは、モーグルコースやヒルクライムコースではありませんでした。それでも、十分にタフな林道コースで、公道や一般的なオートキャンプ場(未舗装路)ではあまり遭遇しなさそう。

「OTA」をオフにしても慎重に走れば走破可能で、オンにすると滑りやすい(スリップ)場所でもより安定感が増し、とくに停車時からの再発進ではよりスムーズにスタートができます。一方で、CX-30のサスペンションは、悪路で走るには少しストローク感が不足気味で、トーションビーム式のリヤサスペンションの安定性はもう少し。もちろん、腹を打ってしまうようなことはありません。
また、CX-5、CX-8と同様に、急な下り坂では「ヒルディセントコントロール」が欲しくなるのと、先が見えにくい勾配では、前方の見切りのしにくさが気になるところ。フロントビューカメラに頼るあたりは、スクエアなボディフォルムが欠かせないオフロード系SUVとの違いです。

それでも、CセグメントベースのSUVは、SUBARU XVなどもあるものの、比較的オンロードに振ったモデルが多く、CX-30はAWDであればキャンプやウインタースポーツなど、多彩なシーンで使えるSUVといえます。普段は街乗り、オフタイムはアクティビティの足として、またロングドライブで楽しむのであれば、ディーゼルエンジン+AWDが最適な選択になりそうです。
(文/塚田勝弘・写真/長野卓郞)