オフロード・トラクション・アシスト(OTA)の追加で悪路走破性・脱出性を向上させたCX-5【マツダSUVオフロード試乗】

■CX-5 AWDで悪路の急勾配を登坂、下り坂をクリアするとどうなる?

狭い道路や駐車場事情にもマッチするCX-30の登場により、SUVのラインナップが充実したマツダ。それでも、兄貴分のCX-5が、同社SUVの中核をなすことには変わりないはず。マツダのSUVの中でも210mmという、最も高い最低地上高が確保されているCX-5に、2019年12月の一部改良で「オフロード・トラクション・アシスト(OTA)」が加わりました。

マツダ CX-5
急勾配を駆け上るCX-5 AWD

オフロード試乗会ではCX-8に続きCX-5に乗り込み、急勾配を一気に駆け上がり、急坂をクリアし、狭いコースをゆっくりと降りてくるというコース。シートハイトを少し高めにしてもボンネットの先までは見きれず、前方および左右の視界は、スクエアなクロカン4WDのような見切りの良さはありませんが、サイド/リヤだけでなくフロントも映し出すモニターの助けも借りながらの試乗になりました。

マツダ CX-5
8インチセンターディスプレイでフロントの様子を確認できる

急勾配では、より高い駆動力が得られるようにATをマニュアルモードに入れてスタート。30km/h程度の速度が推奨されましたが、マニュアルモードであれば20km/h程度でも登り切ることができました。また、Dモードでも速度を保っていれば急勾配を走破可能で、AWDのトラクションの高さを実感。しかも試乗車は、2.2Lディーゼルなので、トルクフルな走りはヒルクライムでも余裕十分。

●ヒルディセントコントロールが欲しいが、ブレーキ制御はかなり巧み

一方、下り坂では、制度の高いブレーキ制御により、タイヤをロックさせることなくクリアできます。それでも凍結した下り坂などでは、「ヒルディセントコントロール」が付いていればステアリング操作に専念できます。ブレーキ制御が巧みであってもドライバーの技量は人によりかなり異なりますから、悪路脱出性を高めた「OTA」を追加したのであれば、ヒルディセントコントロールも欲しいところ。

マツダ CX-5
急勾配をクリアするCX-5

使うかどうかは、もちろん、路面状況などにより異なります。それでも、ドライバーがスイッチをオンにするかオフのままかを判断できる状態にするのが、より幅広いユーザーを獲得できる要素にもなりそう。検討課題ではあるはずなので、今後の設定に期待です。

マツダ CX-5
ヒルクライムコースを走るCX-5

下からCX-5に振り分けられたコースを見上げていると、こんな登り坂を走破できるのか不安になりましたが、まさに杞憂で終わり、2周目以降は難なくクリアできるように感じられました。また、大小多様な凹凸や岩場でもゆっくり走破すれば、下を擦るような不安もほとんど抱かせず、210mmというロードクリアランスは安心感に直結しています。

マツダ CX-5
OTAスイッチはインパネ(ステアリング)右下に配置

マツダの「i-ACTIV AWD」は、登場時よりもトラクションが高まり、「OTA」の追加により、エンジントルクダウンがなくなり、タイヤの空転を抑制するブレーキ圧の向上、空転する前からAWDトルクを高めることで、高い脱出性と悪路走破性を備えています。

急勾配ではオン/オフでも走らせましたが、オンの方が当然ながら安定感(安心感)が高いです。主戦場はあくまでオンロードですが、CX-5 AWDは生活四駆としてはもちろん、キャンプや各種アクティビティの足としても頼りになります。

(文/塚田勝弘 写真/長野卓郞)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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