半世紀にわたり日本の自動車ジャーナリズムを支えた団体・AJAJが懇親会を開催【日本自動車ジャーナリスト協会50周年】

■日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)が創立50周年

私も所属する日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)が創立50周年を迎えました。

AJAJでは関係者との親睦を深めるため、毎年12月の第3木曜日に年末懇親会を開催しています。今年は創立50周年ということもあり、記念懇親会となりました。記念懇親会ということで、通常よりも早い時間から会をスタート。

第1部は創立メンバーである、山口京一名誉会員と岡崎宏司会員によるトークショーを開催。AJAJ創立当時の様子を語りました。

AJAJ2019懇親会集合写真
2019年の懇親会に集まった会員たち。現在登録している会員、理事、会友、顧問、名誉会員は合計で103名となる

山口京一名誉会員は「当時、自動車の評論を行うのは大学の教授、自動車メーカーの技術者、そして恐ろしいことに当時の運輸省の官僚などが出てくることも多かった」と設立当時の状況を振り返りつつ「ユーザーサイドに立つ自動車評論家は非常に少なかったのですが、次第にその数が増していった」と語り、完全逆転したとも語りました。

一方、岡崎宏司会員は「チームエイトという8人のクラブをやっていましたけど、人数が少ないのでとりあえずTMSCと一緒に活動していました。そしてこの業界に入ったときには、日産はボクのことをトヨタの回し者だという位置付けをしたんですね。それでしばらくクルマには乗せてもらえなかったんですよ。そうした時代に日産がシルビアを出したんですね。それで、雑誌の編集長が直談判してどうにか乗れるようにしてくれた。それで谷田部(日本自動車研究所)でテストをしたんです。実験部の人が10数人来ていてるなかで、ゼロヨンテストをして実験部員のタイムよりも0.7秒速いタイムを出して、一気に認められるなんてこともあったんです」といった話も披露しました。

AJAJ2020懇親会 会長
第2部の懇親会にて開会の挨拶をするの菰田潔・現会長

そうしたなか、AJAJの初代会長である高岸清氏がなぜAJAJを作ったのか? という言葉が紹介されました。

「近来、モータリゼーションの急速な発展にともない、自動車関係の報道、論説などが、専門誌のみならず、広くマスコミ全体に取り上げられる時代となりました。(中略)自動車および、それをとりまく諸条件について、確たる認識も教養もないまま、安易な解説や論評をこころみる、いわゆる自称・自動車評論家の輩出をみるにいたりましたことは、極めて残念なことであります。無責任な言論指導と歪曲された世論の醸成は、健全なモータリゼーションを誤った方向に導く惧れなしとしないのであり(中略)、私達は過去三年間、こうした事態を予想して、お互いに協力して参りましたが、この機会に自動車ジャーナリストとして、それぞれの分野で責任ある活動をしている個人の団体を結成することにいたしました。(以下略)」

AJAJ2020懇親会 三代目会長
3代目会長を務めた米村太刀夫会員
AJAJ2020懇親会 四代目会長
4代目会長を務めた日下部保雄会員

この高岸氏の言葉は現代にも通じるものとして、多くの会員が納得するとともに、その言葉を心に刻み、自動車ジャーナリストとして恥ずかしくない活動、知識、態度などを心がけることでしょう。

AJAJ2020懇親会 トークショー
第一部のトークショーを務めた山口京一名誉会員(左)と岡崎宏司会員(右)

(文・諸星陽一/写真・小林稔、諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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