■素直なハンドリングが美点で、直列3気筒は少し振動も感じられる
さらに、最大トルク150Nmまで対応するD-CVTの仕上がりも上々。スプリットギヤを採用することで、伝達効率の向上、変速比幅を拡大していますが、エンジンに高い負荷を掛けたシーンでも音ばかりが先行するというCVTならではの課題はかなり少なくなっています。
エンジン自体も軽く仕上がっているようで、少し高めの全高にも関わらず、コーナーではフロントノーズの入りもよく、比較的自然な操舵感が得られます。ロール剛性の向上、ロールセンター高を下げることで、ロール姿勢を前下がりの自然なものとしているそうで、そのほかオーバーステア減、アンダーステア増という安定した車両挙動を目指したサスペンション設計で、ジオメトリーの新設計という成果が感じられます。
一方、荒れた路面では小さな上下動を感じさせるシーンもあり、コンパクトSUVであることを実感させられる乗り味ですが、出たての頃のホンダ・ヴェゼルやマツダCX-3あたりと比較すると、乗り心地でも健闘しています。今後さらに熟成が進めば、よりフラットライド感が出てきそう。試乗車のタイヤは、ダンロップ・エナセーブEC300+で、サイズは195/65R16、195/60R17がグレードにより組み合わされています。
走りで気になったのは、バランサーシャフトが付かない直列3気筒エンジンの音・振動が少し大きめに感じたのと、極低速域でUターンするような状況下で、アクセルペダルを少し踏まないとパワーステアリングのアシストが一瞬抜ける(アシストが小さい)ような手応えで、狭い場所で何度も切り返すようなシーンでは、パワーアシストの応答遅れのような感じがあります。
なお、電子制御4WDにも少し試乗しました。こちらはモニターで前後輪へのトルク伝達の様子が確認できます。発進時や加速時、登り坂のようなシーンで少し背中を押してくれるような加速は、滑りやすい雪道などはもちろん、ウエットコンディションや林道などを走行する際にも安心感が高まりそう。雪国の方はもちろん、登山やスキー、マリンスポーツ、ロングドライブの機会が多い人も4WDを選択しても良さそうです。
(文/塚田勝弘 写真/長野達郎)