トヨタの新型ヤリスに採用されたアドバンスドパーク(高度駐車支援システム)がびっくりするくらい使いやすい仕上がりとなっていました。
以前、プリウスPHVで同様の機構を試したことがあるのですが、動きがゆっくりとしていて、ホームセンターの駐車場で試したら後ろのクルマがかなりイライラした様子でした。しかしヤリスのアドバンスドパークはかなり速いスピードで動くのです。これなら普通に人間が操作しているのと変わらない……と思ったら、なんと私が体験したスピードは3段階に調整できるうちの真ん中、つまりもっと速く駐車をすることも可能だといいいます。
アドバンスドパークの手順はじつに簡単です。駐車スペースがある場所に近づき、ATセレクター横にある起動スイッチを押します。続いてモニター画面上で、駐車したい場所を選びOKボタンを押します。モニターに「発進するにはブレーキを離して下さい」という指示が表示されますので、指示通りにブレーキペダルから足を離します。
するとクルマが自動的に動き始めます。アクセル操作とステアリング操作はクルマ側が自動で行います。ドライバーがアクセルやステアリングを操作すると動作はキャンセルされますが、ブレーキ操作では動作はキャンセルされません。車庫入れ中にブレーキを踏んで速度を調整、あるいは中断することは普通の行為という考え方です。前進後に後退して車庫入れをする場合は、ブレーキを踏んでATをDからRに切り替えなくてはなりません。この際もブレーキ操作とATの操作では一連の動作はキャンセルされず、ブレーキから足を離すとクルマが後退し、選んだ地点までクルマを動かし駐車を完了させます。
こうして一度駐車してしまえば、その場所を3カ所まで記憶させることができます。記憶させる際は、駐車した位置をそのまま記憶させることもできますが、「もう少し右に寄せて記憶させる」ということもモニター内の操作で可能です。従来は白線が存在しないと駐車支援ができませんでしたが、ヤリスに採用されたアドバンスドパークは白線の有無に関係なく駐車支援が行えるところがすごいところです。
従来は駐車支援を使うことで駐車の仕方を覚える……というような使い方が現実的でしたが、ヤリスのアドバンスドパークは完全にクルマ任せにしてしまおうという気持ちになります。すごく便利なのですが、もしかしたら駐車の仕方を忘れてしまうかも知れない……という不安感を覚えるのもまた事実です。
(文/写真・諸星陽一)