●FIA IDC 2019は筑波サーキットで開催
東京モーターショー2019の東京オートサロンブースで行われたFIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップ(FIA IDC)の開催発表記者会見。
日本発祥のモータースポーツであるドリフトを世界自動車連盟(FIA)の公式認定のもとで国際大会として開催されるFIA IDC。
開催日程は11月29日から12月1日で場所はFIA IDCとしては初の開催となる筑波サーキット。非常に高い速度で繰り広げられるであろうサーキットドリフトが期待できます。
FIA IDCのオーガナイザーである株式会社サンプロスの代表取締役社長 齋田 功氏は「日本発祥のモータースポーツであるドリフトは、D1GP発足から20年ほどで少なくとも世界40カ国以上で親しまれるほどの広がりを見せています。それらをFIAから発せられるルールをもとに世界一を決めようとするのがFIA IDCです」と語ります。
エントリーは世界中から17カ国・26台のドリフトマシンが集まりました。FIA IDC初代チャンピオンの川畑真人選手も名を連ねます。
初代チャンピオンとなった川畑真人選手は「FIA IDCのチャンピオンはFIAの表彰式に出席できます。ボクが勝った第1回のときにはフランスのベルサイユ宮殿で行われ、素晴らしい体験が出来ました。あの雰囲気を手放したくなくて昨年の第2回も頑張りましたが、チャンピオンはロシアのゴーチャ選手となってしまいました。今年は必勝体制で臨むつもりでしたが、いまのところ国内のD1グランプリでもいい成績が残せていません。そのためD1グランプリのシーズン途中ですがGRスープラのエンジンを載せ替えることにしました」と語ります。
●なんと1000馬力のV8エンジン搭載!
そのGRスープラがこちら。「GRスープラはボディが頑丈でタイヤのグリップがガッチリと路面を掴んでしまうのでこれまでの2JZエンジン(800馬力)ではタイヤのコントロールをする上で役不足を感じました」と語る川畑選手。
そこでFIA IDCの記者会見の後にそのエンジンのお披露目となりました。
ボンネットを開けるとエンジンにベールがかかっています。つまり搭載エンジンをアンベールということに!
新しく搭載されていたエンジンはレクサスSC430などに搭載されていたトヨタの3UZエンジン。V8の4.3リッターとなります。
川畑選手は「この3UZエンジンは1000馬力でセッティングしています」と語りながらのガッツポーズ。
このエンジンをよく見てみるとウエイストゲートは上方排気となっています。
ボンネットにはウエイストゲートの排気管を通す穴が空いています。
本当は片バンクずつのツインターボにしたかったとのことですがエンジンが大きく、ただ載せるだけではステアリングシャフトも通らないというわけで、エンジンやインタークーラー等の大きなパーツの位置を決めていったらビッグタービンのシングルターボという選択になったそうです。
それもターボユニットは「この場所にしか置けない」というわけで排気管の取り回しからウエイストゲートも上方排気になってしまったとのこと。
ボディがガッチリと固くて、というお話がありましたが、なぜそんなに固くなっていたのかがよく分かる部分を見せていただきました。ドアの開口部のボディ側を取り囲むウェザーシールドを少し外してもらうとその理由が明らかになります。
「こういった部分は国産車だと平板を溶接していますが、GRスープラは波鋼板を使っているんですよこれだと構造的にたわみにくくなってきます」
このようなしっかりとしたボディに組み合わせられるタイヤはTOYO TIRESのPROXES R888。この組み合わせは普通に考えれば鬼グリップです。
「ボディとタイヤの相性が良すぎて2JZエンジンでは役不足になってしまうんです。このタイヤの性能をドリフトでしっかりと発揮するには1000馬力が必要なんです」と語る川畑選手。
この3UZエンジン搭載のGRスープラはD1グランプリ最終戦のオートポリスで実戦デビューし、FIA IDCでも必勝体制で望みます。
川端選手が再びFIAの表彰式へと向かうことができるようになるには、このGRスープラでFIA IDCで優勝する以外に道はないのです。筑波サーキットでぜひ川畑選手を応援しましょう。
(写真・文・松永和浩)