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■ドライバーの負担軽減や事故率の引き下げに貢献するアクティブ・ドライブ・アシスト
乗用車ではお馴染みの機能となっている車線内自動追従走行ですが、トラックなどの大型車では導入が遅れていました。しかし、三菱ふそうの新型スーパーグレートでは、アクティブ・ドライブ・アシスト(ADA)、アクティブ・ブレーキ・アシスト5(ABA5)、インテリジェント・ヘッドランプコントロール(IHC)、交通標識認識機能を搭載し、運転アシスト機能を大幅強化を実現しています。
●日本のトラックドライバー不足を解決する
三菱ふそうが発表した2019年モデルの「スーパーグレート」は、日本市場のベンチマークとなるレベル2の運転支援技術を搭載した大型トラックです。
日本の物流業界は慢性的な人材不足に悩んでおり、トラックドライバーの確保は早急に解決するべき問題です。三菱ふそうはレベル2の運転支援技術を使い、この人材不足問題にメスを入れます。長距離トラックドライバーの過度なストレスや疲労を、大幅に軽減し、ドライバー数の減少に歯止めをかけようとしているのです。
●乗用車の当たり前をトラックでも当たり前に
高度運転支援機能の「アクティブ・ドライブ・アシスト」は、高精度レーダーと前方認識カメラを通じて道路状況と車線情報を分析し、先代モデルでも搭載されていた全車速域対応クルーズコントロールに加えて、ステアリング制御を行う「レーンキープ機能」を搭載しました。これは従来モデルの車線逸脱警報システムと異なり、時速60km以上で走行中にドライバーの意図しない車線逸脱が発生した際には、ステアリングを制御してクルマを車線内に戻してくれる機能を備えています。
乗用車では既に当たり前となりつつある技術ですが、大型トラックでは車線幅とボディ全幅との差が非常に少なく、同一車線内を安定して走行させるのは至難の業です。また、大型トラックが向きを変えるにはステアリング操作から遅れが生じやすいので、クルマの動きが遅れることも計算して早期に車線情報を検知して、ステアリングに情報を伝達して同一車線内にとどまらせることができるのは非常に高い技術力の賜物なのです。
衝突被害軽減ブレーキ「ABA5」は従来のレーダー波に加えて前方認識カメラを搭載することで、より高い精度での障害物検知が可能となり、先行車が停止している状態でも高い回避能力を実現しました。歩行者に対しての検知機能も向上し、事故発生のリスクを可能な限り抑えます。
ヘッドライトも自動でローハイ切り替えを行ってドライバーの操作を少なくするほか、マルチファンクションディスプレイに標識を表示することで、ドライバーの見落としを減少することに貢献しています。
●運転支援技術への大きな投資
三菱ふそうを傘下に収めるダイムラー・トラックは、いち早くレベル4の自動運転技術を搭載したトラックを世に登場させるべく、5億ユーロの投資を行っています。米国で行われている自動運転技術の開発と、その技術の認証を急ぎ、世界各国でレベル4の自動運転トラックを普及させることが、喫緊の使命と考えています。
大型トラックに安全と快適性を与えた、三菱ふそう「スーパーグレート」は、今後の大型トラックのベンチマークとなっていくでしょう。ハード・ソフトともに安全性能を高め、大型トラックによる事故が限りなく少なくなる未来は遠くないかもしれません。
三菱ふそう・スーパーグレート
【主要諸元】
・車型:2PG-FU74HZ
・エンジン:6R20(T2)型
・最高出力:294kW(394PS)
・トランスミッション:ShiftPilot12速AMT(前進12段・後退2段)
・車両価格:21,616,100円(税込)
(文:佐々木亘)