広範な事業分野を生かして社会課題解決に取り組むアイシングループ【東京モーターショー2019】

■持続可能な社会を目指す高邁な取り組み!

自動車部品大手のアイシングループのブースでは、グループ各社がカバーする幅広い事業領域と高い専門性を生かして、社会課題の解決にチャレンジしていくことをアピールしていました。

アイシン精機の伊勢清貴社長
アイシン精機の伊勢清貴社長

なかでも大きなテーマが電動化を通じた取り組みです。同グループは2004年に、部品メーカーとしては初めてハイブリッドシステムの開発に成功しましたが、その後も開発を続け、現在ではハイブリッドやEV向けのeアクスル(モーターやインバーターを車軸と一体化したもの)で世界的な評価を得ています。自動車の電動化率を高めることで効率を高め、CO2を削減し、温暖化防止に貢献しているわけです。2020年にトヨタが投入するピュアEV「IZOA」向けのeアクスルも量産が始まることがアナウンスされました。

2モーター式ハイブリッド
2モーター式ハイブリッドシステム
eアクスルのカットモデル
eアクスルのカットモデル

もうひとつ、安全な移動・輸送に関する取り組みも興味を引くものでした。たとえば自動車関連事故の30%が駐車場で発生していることに対し、同グループが2003年以来磨き上げてきた自動駐車技術を役立てようとしています。先ごろ発表されたトヨタ・ヤリスには、ハンドル操作はもちろん、アクセル&ブレーキ操作も不要の新しい自動駐車システムを投入しましたが、来年には愛知県内で進めている自動バレー駐車(ドライバーがいなくても車両が自律的に入出庫するシステム)の実証実験を本格化させるといいます。

クルマに使われているアイシングループの部品
クルマに使われているアイシングループの部品の配置モデル

運転中のドライバーの状況を検知するシステムも目覚ましい進化を感じさせました。この技術では、2006年にレクサスGSに初採用されたドライバーの顔の向きを判定する仕組みが先駆けでしたが、現在では目の開閉や視線の向きなども把握できるようになり、さらに骨格から車室内の様子を知る仕組みも開発中とのことです。

ドライバーモニターシステム
ドライバーモニターシステム

豊かな社会づくりへの貢献としては、高齢者の外出機会を創出する「チョイソコ」というサービスもあります。このサービスは同グループが愛知県豊明市で実証実験を進めているもので、利用者が目的地とする店舗などと協力して運行する独自のもの。税金や補助金などへの依存度が低く、持続可能な公共移動手段をして注目を集めています。利用者もすでに1300人に達したということです。

チョイソコスライド
チョイソコの説明スライド

自動車部品メーカーというと、ミクロな視点にこだわる企業なのかと思いがちですが、アイシングループのビジョンは、地球と社会といった視点に立った高邁なものでした。ぜひその取り組みをアイシングループブースで確かめてください。

(文と写真:角田伸幸)

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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