新開発EVプラットフォームを使った「ニッサン IMk」は、将来の軽自動車像を提案する意欲作【東京モーターショー2019】

●未来のクルマに和モダンを採り入れたような表現が盛り込まれたデザインを採用

日本の自動車マーケットで40%を占めている軽自動車。今後もその存在感の高さは変わらないと容易に想像できます。

日産が提案するコンセプトカーの「ニッサン IMk」は、いわゆるデザインスタディなのは間違いありませんが、同社では単なるスタディモデルではなく、将来の市販化あるいはコンセプトが活かされる提案と位置づけています。

ニッサン IMk
同社の将来の軽自動車像として提案される「ニッサン IMk」

「ニッサン IMk」は、「Life-enhancing City Commuter」というコンセプトを掲げ、日常に「気分が上がる特別感」をくれるパートナーとして、都市部のユーザー(とくに女性)を想い描いているそう。トレンドに敏感でありながらも無意識に流行の最先端をいくような女性だそう。

ニッサン IMk
「ニッサン IMk」のサイドビュー

同社が現在の軽自動車を調査した結果、内外装のデザインや走り(加速や登り坂での力強さ)などパフォーマンスに満足していないユーザーも少なくない、という分析をしています。こうした声に応えるのが「ニッサン IMk」というわけです。

ではなぜ、EVなのでしょうか。現在の軽自動車は、スポーツカーからミニバン的なスーパーハイトワゴン、セダン、軽バン、軽トラまで、すべてのクルマのカタチが入っているとして、日産から未来の軽自動車像を提案する際にEVになったのは、市販EVで最も売れているリーフを擁するだけに当然なのかもしれません。また、量産EVにこそはなりませんでしたが、「ハイパーミニ」というモデルの存在もあったとしています。

ニッサン IMk
「ニッサン IMk」のインテリア

さて、「ニッサン IMk」のデザインは、日本のDNA、あるいは、未来のクルマに和モダンを採り入れたような表現が盛り込まれています。「日常にもたらされる最先端で簡明な新しさ」として「粋(IKI)」というキーワードが採り入れられています。

内装には「間(MA)」というワードが掲げられ、「構造に熟達した卓越した空間の使い方」。さらに「間を演出する巧みな手技で調和された構造と細部」には、「整(SEI)」というワードが当てはめられています。

ニッサン IMk
「ニッサン IMk」のリヤビュー

ボディサイズは全長3434×全幅1512×全高1644mm。ボディカラーに、日本では古来から使われてきた金属で、日本の文化に縁のある「アカガネ(銅)」を採用。外観では「あえて取り入れる大胆かつ多様性のある表現として「傾く(KABUKU)」「自然によって生み出された流動性や非対称性が生み出す美しさ」として「移ろい(UTSUROI)」が掲げられています。ユニークなのが日本の飾りや文様ともいえそうな「水引」をモチーフとした表現が採用されている点。

ニッサン IMk
水引をデザインモチーフに採用

先述したように、日産は単なるデザインスタディ、ショーモデルとして終えてしまうのではなく、将来の軽自動車像として、「プロパイロット2.0」を進化させて高速道路だけでなく、主要幹線道路でも運転支援技術が使えるようにしたいとしています。ほかにも、スマホで呼び出せばクルマが迎えに来てくれるバレーパーキング機能なども想定。

現時点では、EVとしてのスペックなどの詳細は語られていません。EVプラットフォームであり、未来の軽自動車像を提案する以上、内・外装デザインはもちろん、航続可能距離や居住性などは、三菱アイミーブを大きく超えることが期待されます。同社では、EVとしてはリーフの「次のステップになる」としていますからこうしたニーズに応えてくれるはずです。

(文/塚田勝弘 写真/長野達郎)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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