マイヘルメットにワーキンググローブを準備。50歳にして大型二輪免許を取るために教習所に通ってみて感じたこと【RRR・第2回】

■中高年にとって大型二輪教習は体力的にきびしい? 技能教習で熱中症寸前に!

「リターンライダーリハビリテーション」と銘打ってはじめた連載コラム【RRR】も第一回から少々時間をいただいてしましまいた。自動車コラムニストが、なぜか齢50にして大型二輪の運転免許を取ろうと思ったきっかけについては連載第一回でいろいろと書かせていただきましたが、その中に消費税増税前の駆け込み的なマインドが大きかったのは事実。

運転免許という資格の内容も変わらないければ、おそらく内容にも変化がないであろう教習所の料金が消費税増税によって上がることは間違いありませんでした。ならば、増税前に教習所を卒業しておかねば! と思ったのが2019年6月のこと。具体的な金額については個別のケースもあるので触れずにおきますが、あらためて消費税増税後に卒業した教習所のホームページを見てみると、自分の支払った教習代から5000円以上も上がっています。駆け込んでよかったな、とあらためて思うのでした。

さて、自分の場合は中型四輪(中型は8tに限る)と普通二輪の運転免許を所有しているため、大型二輪の教習は基本的に技能教習(実技)だけで学科教習はありません。教室に入ったのは入校時の説明会と安全性の適正検査を受けた時、そして卒業証明書を受け取るときくらいでした。また、二輪には仮免許のような制度はないのですべての段階で教習所のコースを走ることになります。

しかしながら、教習所のコースというのは基本的に免許を持っていない教習生がほとんどです。教習を受ける前の説明時に「四輪も二輪も免許を持っている大型二輪の教習生は、その中では見本となることが求められる」と聞かされ、教習生でありながら恥ずかしい姿は見せられないと身が引き締まります。

そんな気持ちを高めようと、まずはヘルメットを購入しました。教習所でも貸してもらえるのですが、マイ・ヘルメットを用意するくらいの気持ちを見せないといけない、と勝手に思ったのです。とはいえ、グローブについてはあえて手にフィットするワーキンググローブを用意しました。それは、久しぶりに行なう左手のクラッチ操作では素手に近い感覚のほうが乗りやすいだろうと思ったからです。

HONDA NC750 教習車
HONDA NC750L(教習車仕様)

そして、大型二輪の教習初日がやってきました。コースに用意されていたのはホンダNC750L(教習車仕様)。排気量こそ745ccと大きいですが、エンジンは2気筒ですし、車重も230kgほどですから中型二輪とさほど感覚は変わらないのでは? というのが第一印象。

実際、20数年ぶりにMTタイプの二輪にまたがり、クラッチ操作をしたのですが、エンストすることもなく動かすことができました。むしろアイドリングでも十分に発進できるだけのトルク感があるので乗りやすいと感じたほどです。初回教習で一本橋とスラロームを走ってみたタイムは、一本橋が12秒(合格基準は10秒以上)、スラロームが7.5秒(合格基準は7秒以内)と数字的には順調なのも自分の中では意外な結果。

いきなりすっころんでしまうくらいのリターンライダーぶりを発揮すると思っていたものですから。

ただし、せいぜい原付スクーターくらいしか乗っていなかったので、センタースタンドをかけるのにはひと苦労。6月下旬の蒸し暑い中で、引き起こす練習などをしていると体力がどんどんと奪われていきます。じつは急いで免許を取りたいと思い、技能教習を二時限連続でいれていたのですが、二時限目が終わったときにはグロッキー状態。汗もとまらず、熱中症とはいわないまでも、肩で息をする状態でした。帰宅して体重を計ってみると2kg減でしたが、そのほとんどが水分だと思うと気を付けないといけない状態。暑さにやられて周囲を見る余裕もなくなるなど安全に教習を受けることが難しいと感じたのも事実。

これに懲りて、そのあとは週に一回のペースで技能教習を受けるようしたのでした。ちなみに一回の教習時間は50分、前後の説明などもあるのですが30分以上は教習コースを連続走行しているというイメージです。

■大型二輪でコケ、大型スクーターでもコケ……

そして、7月に入って最初の技能教習。前回の反省から暑さ対策で薄着に変更していますが、長袖・長ズボンは絶対ですし、体や手足にプロテクターを装着するので、やはり汗は止まりません。この日は、クランクの練習中に縁石にガードを引っ掛けてしまい初ゴケ。

クランクではバイクを寝かさずにハンドルを切ることでゆっくりと走ることがテーマなのですが、出口で外側にはらんでしまうクセを直そうとイン側ギリギリを走ったところコケてしまったのでした。速度が遅いシチュエーションですからとくにケガをすることはなかったのですが、教習車のブレーキペダルなどは位置がズレてしまっています。「自分のバイクじゃなくてよかった」という心の中で思いつつ、こうした練習ができることが教習所に通う意味なのだなあ、とあらためて思ったのでした。

また、アクセルやクラッチの操作に意識が集中するとニーグリップが甘くなるという悪い癖も指摘、基本となるニーグリップをしっかりとした上での操作が重要だというわけです。

SUZUKI SKYWAVE650
AT教習で使ったスズキ・スカイウェイブ650(画像は通常モデル)

細かい運転はまだまだと実感しながらも、ひとまず動かすというレベルにおいては大型二輪にも対応できそうだと感じたあたりで、AT体験の時間がやってきます。いまや二輪免許にもAT限定があり、大型二輪の免許では当然ながらATも運転できなくてはいけません。

そのカリキュラムではAT限定免許を有しているライダーならば、全員がクリアしてきている一本橋の難しさに閉口。教習車はスズキのスカイウェイブ650でしたが、とにかく大きい車体でタイヤの位置が掴みづらいのです。そのため一本橋にフロントタイヤを乗せる段階で、探りさぐりといった感じになってしまいます。しまいには転倒してしまったほど。そして、起こすのがまたひと苦労で、大汗をかいてしまったのでした。

そうこうしているうちに第一段階(5時間)が終わりに近づきます。そのあたりで、入校時に受けた安全性の適性検査の結果が出てきました。恥ずかしながら、運転適性度は「2」、安全運転度は「D」という判定。かなり運転するのには注意が必要という結果です。正直、検査を受けている段階で処理能力の衰えを感じていましたから、ある程度はこの結果は予想していましたが、それでもショック。あらためて、安全運転への意識を高めなければ、と思ったのでした。

第二段階に進むと、40km/hからの急制動が加わるなど速度レンジが上がります。相変わらず交差点ではインベタで走るのが苦手ですし、波状路ではエンストしたり、転倒したりしてしまうなど課題はありますが、技能教習としては順調に進みます。

ここで気を付けなければ、と思ったのがウインカーを出すタイミング。教習所内では当然ですが、3秒前や30m手前といったウインカーを出すタイミングのルールがあります。個人的に公道では後方車両がいるときには早めにウインカーを出してこちらの動きを伝えようとするクセがあり、そのタイミングでは試験でNGと指摘されてしまいます。たしかに早めに出し過ぎると誤解を招くこともあるでしょう。このあたり、日常での四輪運転時から意識するようにしましたが、最後まで慣れることはできませんでした。

<RRR・第三回へ続く>

(山本晋也)

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この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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