新型ルノー・メガーヌRSトロフィー登場! ニュルFF最速マシンのDNAを受け継ぐ、RS史上最強エンジンを搭載

■1.8L直4ターボは21psアップの300psを発揮! 6速MTも選択可能

●シャシーカップ&トルセンLSDの採用でコーナリング性能を向上

メガーヌ ルノー・スポール(以下RS)を語る上で、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)は外せません。先々代のメガーヌR26.Rは8分16秒90と、当時のFF最速タイムをマーク。そして先代メガーヌRSトロフィーが2011年に8分7秒97、トロフィーRが2014年に8分の壁を破って7分54秒36までタイムを短縮するなど、「ニュルFF最速」の称号を欲しいままにしていました。

そこに現れた刺客がホンダ・シビック・タイプRです。2015年にFK2型が7分50秒36で新記録を樹立した後、2017年にはFK8型が7分43秒80までタイムアップすることに成功。新たなニュルブルクリンクのFF王者として君臨することになりました。

しかし、誇り高きフランスの雄がそのまま手をこまねいているわけはありませんでした。ルノーは今年5月、メガーヌRSトロフィーRでタイムアタックを敢行。7分40秒10を叩き出し、見事に王座を奪還することに成功したのです。

前置きが長くなってしまいましたが、10月31日から発売が開始される「メガーヌ ルノーRSトロフィー」は、そのニュルFF最速車のDNAを受け継ぐモデル、というのが謳い文句です。

メガーヌRSトロフィーのフロントビュー
10月31日から発売が開始されるメガーヌRSトロフィー。
メガーヌRSトロフィーのリヤビュー
メガーヌRSトロフィーの価格は6速AT(EDC)が499万円、6速MTが489万円となっています。

スタンダードのメガーヌRSからの主な変更点は、以下の通りです。

●メガーヌRSトロフィーの専用装備

・最高出力300psを発生するトロフィー専用エンジン

エンジン
エンジンはツインスクロール式ターボチャージャーを備えた1.8L直列4気筒。可変バルブタイミング機構も吸排気の両側に装着しています。ここまではメガーヌRSと同様なのですが、トロフィーはセラミックボールベアリングターボの採用がトピックです。

・セラミックボールベアリングターボ

タービン
トロフィー専用エンジンのタービンは、軸受にセラミックボールベアリングシステムを採用。スチールよりも軽量・高剛性で摩擦抵抗は約3分の2まで削減されており、ターボラグを大幅に低減させています。

出力曲線図
通常のメガーヌRSが最高出力279psなのに対して、トロフィーはルノー・スポール史上最強となる300psを発生。また、最大トルクは6速MT車が400Nm、6速AT車が420Nmとなっています。

・アクティブバルブ付きスポーツエキゾースト

スポーツエキゾースト
2系統に分かれたエキゾーストの片側にメカニカルバルブを配置。バルブが閉じられている状態では排気音を抑える一方で、バルブが開くと排気抵抗が少なくなって本来のパフォーマンスを発揮、アグレッシブなサウンドを奏でます。

・DESS(デュアル・エナジー・ストレージ・システム)
小型バッテリーとスーパーキャパシタ(蓄電器)を組み合わせてカプセル化したもので、L1サイズのバッテリーと同等サイズで8.4kgと軽量ながら、冷間時のクランキング力にも優れています。

・6速MTトランスミッション&手動パーキングブレーキ

6速MT
トランスミッションは、トロフィーでは6速MTが選べるのがトピック。6速デュアルクラッチ式トランスミッション(ルノーでは「EDC(Efficient Dual Clutch)」と呼ぶ)を選択することも可能です。

・トルセンLSD

トルセンLSD
スタンダードなメガーヌRSが装備するRSデフ(電子制御式デフ)よりもトラクションに勝るトルセンLSD。アクセルオン時に旋回ラインをスムーズにトレースする一方、アクセルオフ時の挙動も安定させる効果があり、コーナリング時にはスロットルにより車両姿勢を積極的にコントロールすることができます。

・シャシーカップ

シャシーカップ
メガーヌRSがオールラウンド志向な「シャシースポール」なのに対して、トロフィーはよりハードに足周りが仕立てられた「シャシーカップ」を採用。スプリングレートは前23%&後35%、ダンパーレートは25%、そしてフロントアンチロールバーの剛性は7%アップしています。

・19インチアルミホイール「TROPHY」

19インチアルミホイール
ワンメイクレース用レーシングカー「R.S.01」のホイールデザインを踏襲。Y字スポークの中央部にさらにスポークが追加された凝った造形となっています。

RS01
こちらがR.S.01。カーボンモノコック製ボディにGT-Rニスモをベースにチューンされたエンジンを搭載。2015〜16年の2年間、ワンメイクレースが開催されました。

・バイマテリアルブレーキ

ブレーキ
フロントブレーキは、アルミ製ハブ/鋳鉄製ベンチレーテッドディスクを組み合わせたもの。メガーヌRSから1個あたり1.8kgの軽量化を達成しただけでなく、冷却性能も向上しています。キャリパーは、ブレンボ製4ピストンモノブロック。

・RECARO製フロントバケットシート

フロントシート
1脚あたり23.5kgと軽量で、肩部に4点式シートベルト用のホールが設けられているなど、よりハードな走行にも対応するRECARO製バケットシート。それでいてリクライニングが可能なのは、ストリート派にはうれしいところです。表皮はアルカンタラを採用。

・ナパレザー&アルカンタラステアリング

ステアリングホイール
グリップ感に優れたナパレザーとアルカンタラを組み合わせています。

・TROPHYデカール

デカール
フロントマスクのシルバー部は、F1をイメージしたエアインテークブレード。トロフィーはここに専用ステッカーが貼られています。

…といった具合に、走行性能を高める装備がひときわ充実しているメガーヌ ルノー・スポール トロフィー。スタンダードなメガーヌ ルノー・スポールが6速ATのみで448万1000円なのに対して、トロフィーの価格は6速AT(EDC)が499万円、6速MTが489万円となっています。

なお、7分40秒10を記録した「トロフィーR」は、エンジンスペックはトロフィーと同等ながら、後部座席を外すなど約100kgの軽量化を図りつつ、さらにカーボン製ディフューザーなどで空力性能も磨き上げたスペシャルモデル。こちらの日本発売も楽しみにしたいところです。

【主要諸元】
メガーヌ ルノー・スポール トロフィー

全長×全幅×全高:4,410×1,875×1,435mm
ホイールベース:2,670mm
車両重量:1,470kg[6速AT]/1,450kg[6速MT]
エンジン種類:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1,798cc
最高出力:300ps(221kW)/6,000rpm
最大トルク:420Nm(42.8kgm)/3,200rpm[6速AT]/400Nm(40.8kgm)/3,200rpm[6速MT]
タイヤサイズ:245/35R19
燃費(WLTCモード):12.4km/L[6速あ]/13.4km/L[6速MT]

(長野達郎)