新世紀に向けてすべてを一新。新しい価値を提供した9代目カローラ【新型カローラ登場記念】

●コンパクトサイズながらミドルクラスの居住性とスタイリングを両立した9代目

2019年9月17日、通算12代目となる新型トヨタカローラが登場したのを記念して、50年以上に渡ってマイカーとして人気を誇っているカローラの歴史を振り返るこの企画。今回は2000年に登場した9代目カローラです。

9代目カローラ外観02
すべてを一新し、背の高い新デザインを採用

20世紀最後の年となった2000年、シドニーオリンピックの女子マラソンで高橋尚子選手が金メダルを獲得。そしてヤフージャパンが東京証券取引所で最高額を記録するなど、停滞ムードだった日本国内に明るい兆しが見え始めました。その年の8月に9代目となるカローラは登場しました。

9代目カローラは「ニューセンチュリーバリュー」をコンセプトに、骨格にあたるプラットフォームをはじめ、エンジン、トランスミッション、サスペンション、4WDシステムといった主要コンポーネンツを一新。コンパクトサイズながらミドルクラスの居住性とスタイリングを両立しています。

ボディバリエーションは4ドアセダンとカローラフィールダーと名づけられたステーションワゴンの2種類で、セダンのスポーティモデルであるGTや2ドアクーペのカローラレビンは廃止されました。

9代目カローラ外観03
ボディサイズが5ナンバーサイズいっぱいまで拡大された
9代目カローラ内装01
自発光式メーターを採用するなど機能性が向上

カローラセダンのメインユーザー層は中・高年層だったことから、従来モデルは保守的なデザインでしたが、9代目では全長を80mm、ホイールベースを135mm、全幅5mm、全高85mm拡大し、5ナンバーサイズ目一杯まで全幅を拡大しています。

搭載される1.3L直4、1.5L直4そして1.8L直4のガソリンエンジンはすべて新開発で、VVT-i機構付きのDOHCです。またディーゼルエンジンは2.2L直4を搭載。組み合わされるトランスミッションは5速MTもしくは電子制御化された4速ATのスーパーECTとなります。

サスペンションはプラットフォームと合わせて前後とも一新。フロントは新設計のLアームマクファーソンストラット式、リアはトーションビーム式を採用。また4WD車のリアサスペンションはアーム類を最適配置したダブルウィッシュボーン式を採用しています。

9代目カローラ外観04
ステーションワゴン、フィールダーのフロントスタイル
9代目カローラ外観05
コンパクトサイズながら、ラゲージ容量は十分確保されている

駆動方式はFFと4WDで、4WDはフロント部にビスカスカップリングを配置し、通常の直進状態ではFFに近いトルク配分を行い、滑りやすい路面やコーナリング時などで前後輪に最適なトルク配分を行うVフレックスフルタイム4WDを採用しています。

安全面ではABSとその効果を高めるブレーキアシストを全車に標準装備したのをはじめ、セダンの最上級グレードのラグゼールには車両姿勢制御システムのVSCとTRCをセットでカローラではじめてオプション設定しています。

車両価格は4ドアセダンが112万3000円〜206万8000円で、ステーションワゴンのフィールダーは136万3000円〜199万8000円とカローラシリーズで初めて100万円以下のグレードが無くなりました。

(文:萩原文博、写真:トヨタ自動車)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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