●ファイナルラップの最終コーナーでの大逆転! 気合いの入った走りでチャンピオンが決定
2019年10月6日、2019MotoGP第15戦・タイラウンドの決勝日。タイ東北部、ブリーラム県にあるチャーンインターナショナルサーキットは曇りの朝でした。
朝のフリー走行から調子を上げて来たのが、昨日の予選で2位だったレプソル・ホンダ・チームのマルク・マルケス(スペイン)。フリー走行のタイムは1分30秒921で、ポールポジションを獲得しているペトロナス・ヤマハSRTのファビオ・クアルタラロ(フランス)より、0.228秒速いタイムとなりました。
Moto3、Moto2クラスのレースが終わり、いよいよMotoGPクラスの決勝スタートが近づいて来ました。レース前にはタイの民族性を取り入れたダンスショーが披露され、観客は大いに盛り上がってきました。全車がダミーグリッドに整列すると国歌斉唱、そしてフォーメーションラップへと進んでいきます。
全車一斉にキレイなフォーメーションラップを終了。グリッドにつき、スタートを待っているその瞬間です。
セカンドロー最終ポジションにいた6番グリッドのプラマック・レーシング、ジャック・ミラーが突然マシンを降り、ピットへ押し出します。エンジンストールなのでしょう。その後、ミラーはピットからスタートしました。
レース自体は非常に淡々としたもので、ファビオ・クアルタラロがレースをリード。2位につけたマルク・マルケスがそれを追う形で進んでいきました。しかし、2台の差はさほど開きません。スタート直後で0.235秒、その後も0.310秒、0.340秒といった様子です。
7ラップでは0.464秒と少し開きはじめ、10ラップでは0.862秒とその差が開いてきました。徐々に差が開くレースはトップに心の余裕を与え、有利に働くことが多いものですが、今回のレースはちょっと違いました。
18ラップでは0.279秒とその差はグッと縮まりはじめます。23ラップでは0.170とテール・トゥ・ノーズ状態となりました。そして最終26ラップの最終コーナー、2番手マルケスが仕掛けます。
一気にインを差したマルケスがクアルタラロの前に! そのままウイリーするほどの気合いの入った加速で抜き、トップでゴール、優勝を果たしました。唯一の日本人ライダー、中上貴晶は14番手スタートながら10位ゴールと健闘しました。
今回のタイラウンドの優勝でマルケスは2019シリーズのチャンピオンが確定となりました。残念ながら次戦・日本ラウンドではチャンピオン争いとはなりませんが、レースそのもののエキサイティングさは変わらず、楽しめることでしょう。
(諸星陽一・協力:タイ国政府観光庁)