目次
複数台持っていたクルマを1台にまとめたり、クルマを所有していたが、引っ越しなどによりクルマが必要なくなった時、自動車保険の契約が余ってしまいます。せっかく育てた等級は、クルマを手放すと一緒になくなってしまうのでしょうか。このような場合の自動車保険の手続きを、元自動車ディーラー営業マンが、ご紹介します。
■自動車保険はクルマの数だけ存在する
皆さんの過去に一度に所有していたクルマの数で最も多い台数は何台でしょうか。一人の人が本来持っている自動車保険の契約本数は、その台数と同じになります。自動車保険は、契約者の数ではなく、自動車の台数に対して結ばれるもので、それぞれに等級が異なります。
一般的にクルマを増やしたり減らしたりするときに、そのクルマにかかっている自動車保険の等級を入れ替えることが可能になり、最も割引率が高く、優位に働く契約を生かして、使わなくなった契約は解約ということになります。
しかし、使わなくなったとはいえ、短い間でも等級を育てた保険を手放してしまうのはもったいないですね。今すぐに使わなくても後々、またクルマの台数を増やす時が来るかもしれません。そんなときに、一つでも二つでも等級の進んだ保険契約を残して置ければ、新規で加入するよりも安く自動車保険に加入することができるのです。
●必ず中断証明書を発行する
クルマに乗らない期間に、保険契約を解約しても、自分が持っていた等級を維持して、何年後かに所有する次のクルマのために残しておくことができます。一般的に保険契約は、解約してしまうと契約内容も保険料も、次に契約するときには同じ契約にはなりません。生命保険や医療保険などは若い年齢で加入すると保険料が安く、一度解約して何年後かに入りなおすと、年月を経過した分、年齢が高くなり、保険料は上がってしまいます。
自動車保険では解約から10年間に限定されますが、進めた等級を、そのまま保持することが可能です。この方法を利用するためには、保険会社に「中断証明書」という書類を発行してもらう必要があります。
中断証明書を発行するには、「専用の発行依頼書」「解約する自動車保険の証券(コピーでも可)」「今まで乗っていたクルマを自分が所有していない証明書(車検証、売買契約書、登録事項証明書など)」の3つの書類が必要です。解約時に同時に受け付ける保険会社が多いので、自動車保険の解約の際には、必ず中断証明書を発行しましょう。
●もしも忘れてしまっても
中断証明書の発行を、解約時に忘れていたり、そもそも中断証明書の存在を知らずに解約をしてしまった場合でも、解約(もしくは満期日)から13ヵ月以内であれば、時間が経過していても、中断証明書の発行手続きを行えます。申請を行える時期であれば、忘れずに発行を依頼しましょう。
この中断証明書ですが、等級が7等級以上でないと発行できません。新規加入すると6等級からスタートするので、それ以上低い等級では、長い間等級を維持するよりも、新しく入りなおしたほうが保険料もお得になるので、敢えて低い等級を維持しようとする方は少ないと思いますが、7等級以下では中断証明書発行申請は受け付けられませんのでご注意ください。
また、中断証明書を発行してから長い年月が経ち、発行したことは覚えているのに肝心の証明書が見つからない場合は、保険会社に中断証明発行の確認を取りましょう。解約した保険と、新しく契約する保険が同じ会社の契約でしたら、中断証明書の原本を紛失していても、維持していた等級での再開が可能です。
元々契約していた保険会社から、異なる保険会社に契約を変える場合には、中断証明書の再発行を依頼すれば、すぐに新しい証明書を発行してくれますので、長期間が経過し、中断の有無が分からない契約でも、一度問い合わせをしてみると良いでしょう。中断されていれば保険会社でデータを持っていますので、スムーズに保有していた等級を利用することができます。
●まとめ
自動車保険の等級は1年に1つずつしか進まないもので、長い期間育ててきた等級をクルマの減車とともに失ってしまうのはあまりにも大きな痛手です。きちんと中断証明を行い、次のカーライフに備えて準備しておくことが大切です。
(文:佐々木 亘)