5人乗り、前席3人掛けの6人乗り、3列シートの7人乗りを設定するタフな新型ディフェンダーが世界初披露【フランクフルトモーターショー2019】

●新型でもひと目でディフェンダーとわかるデザインを採用

日本にもカタログモデルとして正規導入されると目されている新型「DEFENDER(ディフェンダー)」がワールドプレミアされました。フランクフルトモーターショーでは、42度の傾斜を駆け下りるという、ディフェンダーらしいパフォーマンスを披露し、会場に登場。

新型ディフェンダー
フランクフルトモーターショーで世界初公開された新型ディフェンダー

新型ディフェンダーのラインナップは、「90」と「110」の2種のボディタイプがあり、「DEFENDER 90」は最大6シート(「ジャンプシート」選択時)、「DEFENDER 110」は5シート、6シート(「ジャンプシート」選択時)、5+2シートから選択できます。

新型ディフェンダー
「ジャンプシート」を選択すると1列目が3人掛けになる

グレード展開は、1年間限定の「FIRST EDITION」をはじめ、最上級の「DEFENDER X」、そしてスタンダードモデルの「S」「SE」「HSE」を用意。さらに、それぞれ特徴のある厳選したオプションや機能を盛り込んだ4種類のアクセサリーパック(「EXPLORER PACK」「ADVENTURE PACK」「COUNTRY PACK」「URBAN PACK」)もあり、ランドローバー史上最も多様なパーソナライズが可能です。

また、エクステリアの塗装の耐久性をさらに高める新たなオプションとして、「サテン・プロテクト・フィルム」を設定。この持続可能でリサイクルができる無溶剤のラップフィルムは、ひっかき傷や石はねによる傷から塗装を保護します。

アクセサリーパックに加え、「Remote Control Electric Winch」「Rooftop Tent」「Inflatable Waterproof Awning」や、従来の牽引バーシステムからルーフラックなど、これまでで最も幅広く多様なアクセサリーが用意されています。

外観は、同モデルの特徴的なシルエットが継承され、新型でもひと目でディフェンダーとわかるデザインが目を惹きます。外観は、短いフロントおよびリヤのオーバーハングによりアプローチ・アングル、デパーチャー・アングルを実現するなど、すぐにディフェンダーとわかるシルエットに仕上げられています。

新型ディフェンダー
新型ディフェンダーのフロントビュー

専用の直立フォルムをはじめ、ルーフ後方に取り付けられた「アルパインライト」ウィンドウ、横開きのテールゲート、外付けスペアタイヤなど、初代「DEFENDER」の特徴を新たな形で採用し、21世紀仕様の最新の「4×4」に仕立てたそう。

気になるシート配列は、ロング版の「DEFENDER 110」が5シート、6シート(「ジャンプシート」選択時)、5+2シートから選択可能で、荷室容量は1075L、最大2,380Lまで拡張可能です。

ショート版「DEFENDER 90」の全長は、ファミリー向けのコンパクトハッチバックと同等のサイズとなる予定で、5人(「ジャンプシート」選択時は6人)まで乗車できます。

新型ディフェンダー
新型ディフェンダーのインパネ

インテリアは、通常は見えないように設計される構造物や装具をあえて露出させ、シンプルさと実用性を強調。革新的な特徴として、シフトレバーをダッシュボードに取り付け、オプションで追加できる「ジャンプシート」があります。この「ジャンプシート」は、初期のランドローバーのようにフロントシートを3人掛けにすることができます。

新型ディフェンダー
新型ディフェンダーの1列目シート

特徴的な装備として、ラバーフローリングが上げられます。耐久性の高いラバー素材により日々の利用シーンから、「一生に一度の冒険」まで、あらゆる汚れを簡単に落として清潔な車内が保てるそう。オプションのフォールディング・ファブリック・サンルーフをオプションで選択すると、屋根を開けた状態にすることができ、さらに「DEFENDER 110」の2列目シートでは、停車時に立ち上がり、まるでサファリを訪れているような感覚を楽しむことができます。

ランドローバーが新たに極限環境向けに開発した「D7x」アーキテクチャーは、軽量アルミニウムのモノコック構造で、ランドローバー史上最も頑丈なボディ構造になっていて、従来のラダーフレーム構造と比較して約3倍のねじり剛性を確保。

新型ディフェンダー
新型ディフェンダーの最大渡河水深は900mm

開発の過程で6万2,000項目以上のテストをしているそうで、シャーシとボディ構造は一般的なSUVや乗用車の基準を上回るとのこと。ランドローバーの「Extreme Event Test」で持続衝撃試験もクリアしています。

開発過程においてプロトタイプ車両は、50度の灼熱の砂漠からマイナス40度の極寒の北極、コロラド州の標高1万フィートのロッキー山脈まで、地球上で最も厳しいとされる環境で、何百万kmも走破したそうです。

こうした開発によりディフェンダーの名に恥じない走破能力も備えていて、パーマネントAWD (全輪駆動)、ツインスピード・オートマチック・ギヤボックス、センター・ディファレンシャル、オプションのアクティブ・ロッキング・リア・ディファレンシャルなどにより、柔らかい砂が舞う砂漠地帯から極寒のツンドラ地帯まで、あらゆる環境で優れたパフォーマンスを発揮するために必要なすべての機能を備えるとしています。

新型ディフェンダー
「コンフィギュラブル・テレイン・レスポンス」を新採用し、悪路走破性を向上

さらに、新たに採用される「コンフィギュラブル・テレイン・レスポンス」では、オフロード経験が豊富なドライバーが状況に応じて細かな車両設定が可能。また、これからオフロードを楽しむドライバーも「インテリジェント・オート」機能を利用して地形に合わせたモードをシステムに検出させることができます。

ボディ構造も新設計されていて、291mmの最低地上高(エアサスペンション)と世界有数のオフロード・ジオメトリーを提供。新型「DEFENDER 110」のアプローチ・アングル、ブレークオーバー・アングル、デパーチャー・アングルはそれぞれ38度、28度、40度(オフロード走行時の高さ)。「テレイン・レスポンス2」の新たなウェイド・プログラムにより、最大渡河水深は900mmで、深い水域でも安心して走行できるそう。

一方、乾いた路面では、まるでボンネットがないかのようにフロント下180度の視覚を確保する「ClearSightグラウンドビュー」が活用できます。通常ボンネットで隠れていて見えない前輪のすぐ前方エリアの映像を車内中央のタッチスクリーンに表示するもので、あらゆる状況に対応する新型「DEFENDER」の能力を最大限に発揮することができます。

新型ディフェンダー
ガソリン、クリーンディーゼルエンジンのほか、2020年にはPHEVを追加

パワートレーンは、ガソリンエンジンまたはクリーンなディーゼルエンジンを搭載する新型「DEFENDER」は、あらゆる環境下においても優れたパワー、コントロール性、効率性を発揮します。さらに、2020年にはPHEV(プラグインハイブリッド)が追加される予定だそう。

ローンチ時は、高効率なMHEV(マイルドハイブリッド)テクノロジーを搭載した4気筒P300とパワフルな6気筒P400のガソリンモデルをラインアップ。このほか、4気筒ディーゼルエンジンは、D200とパワフルなD240の2種類からなり、燃費効率37.2mpg(7.6L/100km)、CO2排出量99g/km(NEDC同等水準)を実現。また、フラットなアンダーボディを採用し、空気抵抗を0.38Cdにまで抑えて車両の底面を保護するなど、革新的なエンジニアリング・ソリューションによって効率的なドライブをサポートします。

日本での発売時期、価格などについては現時点ではアナウンスされていません。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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