【サーキット女子に聞いたモータースポーツの魅力】その6・彩世めいさん「サーキットで出会った人たちのおかげでやり甲斐のある仕事を見つけられた」

●「人生の転機」は、意外と身近なところにあるのかも

とかく男の世界と思われがちなモータースポーツの世界。ところが最近は競女カップやWシリーズなど、ドライバーを女性限定にしたカテゴリも発足するなど、モータースポーツに関わる女性も増えてきました。

そんなモータースポーツの中でも、ドライバーとしてではなく、あくまで主役を支えるかたちでモータースポーツに関わっている女性たちは、一体どんなところにモータースポーツの魅力を感じているのでしょう?そんなちょっとした疑問を、実際にモータースポーツの現場にいる女性に聞いてみようというこの企画。

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元レースクイーンからチームマネージャーという道を開拓した彩世さん

第6回目は、ここ数年で増えてきたレースクイーンからチームマネージャーへの転身のさきがけ的な存在、彩世めいさんにお話を伺いました。

──まずは彩世さんの経歴から教えて下さい

よろしくお願いします。

私は2011年にD1でアップガレージ・ドリフトエンジェルスとして、スーパーGTではPacific Fairiesとしてレースクイーンデビューしました。(ドリフトエンジェルスの同期に立花サキさん)2012年はスーパーGTではGAINER sucre、スーパー耐久ではC-WEST GIRLSのレースクイーンを務めさせていただき、2013年には今もお世話になっているGT NET GIRLのレースクイーンとして活動した後レースクイーンを引退しました。

引退後はチームの裏方として、こうしてサーキットに来ています。

──意外とレースクイーンとしての活動期間は短かったんですね。もともとレースや車に興味はあったんですか?

元々車には特別興味はありませんでした。よくある、お父さんとサーキットに行ってとか、兄弟がカートをやっていたのでというような特別な事もなかったです。

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スーパーGTでは5号車マッハ号のチームマネージャーを務める

学生時代、特に将来これがやりたいっていう事もなく、卒業も決まって就職どうしようっていう時期に、その頃やっていたイベントコンパニオンの仕事で知り合った清水恵美さんに「よかったら(清水さんの所属している)事務所からレースクイーンのオーディション受けてみない?」と声をかけてもらったんです。高校時代にダンスをやっていた事もあって(ちなみに世界大会で優勝した実績あり)華やかな世界が好きだったので、清水さんのブログを見たりして、こういうコスチュームを着れるんだと思い、軽い気持ちで受けたらまさかの受かっちゃったっていうのが、レースクイーンになったきっかけです。

──なるほど。では元々興味のなかった世界に入って3年間レースクイーンとして活動したあともこの業界に残ったっていうのは、なぜなんでしょう?

レースクイーンとして活動している時に、レースクイーンっていつまでもできる仕事ではないなと思っていました。大学卒業とほぼ同時にレースクイーンとして毎年仕事をいただいてきましたが、やはり将来的に安定した仕事に就きたい、自立して普通に生活できるだけ稼げるようになりたいと思うようになりました。それまでの自分は、やりたい仕事だけやって自由に生きていました。

そうこうしているうち、レースクイーンの後輩が入ってきて、当然先輩としていろいろ(傘の差し方から人に対しての礼儀など)教えている時に、自分はお世話しているのが好きなのかも、と気付いたんですね。

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面倒見が良いのも、良いマネージャーの条件の一つ?!

それと、元々車に興味があってこの業界に入ってきたわけではありませんが、3年間でいろんなチームに参加させてもらって、そこで知り合ったドライバーさんたちが別の機会に「あ、あのドライバーさんこのレースに出てる」っていう親近感と言うか、やっぱり知ってる人が活躍しているのを見るのが楽しくなって、次第にこの(レース)業界からは離れたくないって思ったんですね。

そういう思いが重なって、この業界で裏方としてやっていきたいと思うようになりました。

──いつの時代もそうだと思いますが、学生のうちから将来これがやりたい!って具体的に考えるのはなかなか難しかったりしますよね。社会に出てからやりたいことが見つかって、それを実現するのもそう簡単ではなかったと思います

3年間レースクイーンとしていろんな方がコントローラーやスタッフとして面倒を見てくれたのですが、その中でもレースクイーンになって初年度、ドリエンでお世話になった南香織さん(以下かおりん)が、当時から私にとって憧れであり尊敬できる人なんです。レースクイーン時代から、レースクイーンをやるならかおりんの持っているチームでやりたいと思っていましたし、引退して裏方をやりたいと思った時もかおりんのように仕事ができる人になりたいと思ったのと同時に、かおりんと離れたくないという気持ちもありました。

なので、引退と同時にかおりんに相談して、一緒に仕事をするようになりました。

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今シーズンの5号車は勢いのある若手2人で、第3戦鈴鹿では2位表彰台を獲得

かおりんは、レースクイーンからコントローラーになるっていう道を作ってきて、今では元レースクイーンのコントローラーさんもたくさんいます。なら次はチームマネージャーへの道を作ろうっていう話しになって、たまたまちょうどそのタイミングで、とあるチームが人材が足りないという事で、最初はマネージャー兼ホスピタリティスタッフとして使ってもらえることになりました。

初めの頃は当然マネージャーの仕事がどんなものかもあまりわからず手探り状態でしたが、マネージャーはチームのすべてが見えるし、レース中は無線も聞けるし車の状態も知ることができる。大変だけどすごくやり甲斐のある仕事だと思っています。

おかげさまでレースクイーンを引退して6シーズン目になりますが、今でもこうして大好きなレースに携わることができています。

──筆者としても現役時代から知っている方と引退後もこうしてサーキットでお会いできるのはとても嬉しいですし、多くのファンの方もそう思っているんじゃないかと思います。最後にそんなファンや読者の方にメッセージをお願いします

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レースクイーン歴より、裏方のほうが長くなりました

レースクイーンを引退して、もう現役時代より長く裏方としてサーキットに来ていますが、裏方なのであまり皆さんにお会いする機会もないのですが、それでも見かけると声をかけてくれる方にはありがとうと言いたいです。

私は元々この業界に入りたいと思っていたわけではありませんが、ここで出会った素晴らしい人たちのおかげで、今はこうしてやり甲斐のある仕事に就くことができました。皆さんにも、いつどこでそういう出会いがあるかわかりませんので、ぜひいろんな所に足を運んで、いろんな人と接して、自分なりの生き甲斐みたいなものを見つけてもらえればと思います。そしてそれがサーキットだったら、私も嬉しいなと思うので、ぜひレースを観にサーキットにもたくさん来てくださいね。

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生き生きと仕事をする姿がとても印象的でした

なんとなく初めた仕事で出会った人たちとの出会いが、彩世さんにレースの魅力を感じさせ、そこを離れたくないと思わせるきっかけになったようです。人生の転機っていうのは、意外と身近なところにあるのかもしれないですね。そしてそれが自分たちも携わっているレースだったっていう事に、筆者も少し嬉しくなってしまった今回のインタビューとなりました。

それではまた次回もお楽しみに!

(H@ty)