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■吸入空気量を増減させてエンジン出力や回転数を制御する
●現代では電子制御式が主流
エンジンは、ドライバーのアクセルペダルの踏み込み量に応じてスロットル弁を開閉し、吸入空気量を変化させてエンジンの出力や回転数を制御します。
アクセルペダルとスロットルをワイヤーで直接繋いだ機械式スロットルと、最近のほとんどのクルマが採用しているモーター駆動の電子制御式スロットルの2方式について、解説していきます。
●スロットル弁の役割とは
ドライバーは、アクセルの踏み込み量でクルマのスピードを制御します。エンジンは、アクセル開度に応じてスロットル開度を調整し、吸入空気量の増減によってエンジンの出力やエンジン回転数を制御します。
スロットルシステムには、2方式あります。
アクセルとスロットルをワイヤーで繋ぎ、アクセルペダルの踏み込み量に応じて直接スロットル開度を調整する機械式スロットルと、アクセルとスロットルをワイヤーでなく電気的に繋いだ電子制御スロットルです。
燃費規制や排ガス規制が厳しい現在では、ほとんどのエンジンが高精度に空気量調整ができる電子制御スロットルを採用しています。
●機械式スロットルシステム
2000年以前のエンジンでは、スロットルはワイヤーで直接アクセルと繋いでいました。微妙なスロットル開度調整ができないため、最近の燃費規制や排出ガス規制には対応が難しく、現在採用例は少ないです。
特にアイドルのような吸入空気量が少ない運転条件では、スロットル開度による微妙な空気量制御ができないという課題がありました。多くは、アイドル安定化のためにスロットル弁にバイパス通路を設けたISCV(アイドルスピード・コントロールバルブ)システムを採用しています。
●アイドリング時の補正
アイドル運転は、エンジンの出力とフリクションが釣り合った状態です。
例えば、エアコンをつけてエンジンの負荷が大きくなると、空気量をわずかに増やすなどしてエンジン出力を補正しなければ、すぐにエンストしてしまいます。
このようにアイドル時は、外乱に対するロバスト性(堅牢さ、頑強さ)が低いので、応答性と精度の高い補正制御が要求されます。
●電子制御スロットルシステム
電子制御スロットルは、ドライバーのアクセルペダルの踏み込み量による出力要求を、ケーブルでなく、電気信号として受信してスロットルを制御します。アクセルとスロットルが物理的に切り離されているので、「スロットルバイワイヤー」方式と呼ばれます。
最大のメリットは、出力調整だけでなく、燃費や排出ガス低減の要求に応えるため、アクセル開度とは独立して空気量が制御できることです。
まず、アクセルペダル開度センサーの情報から目標スロットル開度を演算します。それをスロットルの実開度と比較して開度偏差を求めて、目標スロットル開度になるようにスロットルモーターを駆動させます。
トラクションコントロールやクルーズコントロールなど車両制御のための出力制御にも、高精度な電子スロットル制御を活用しています。
電子制御スロットル(ドライブバイワイヤー)の実用化によって、エンジン制御の自由度が大幅に向上しました。
低燃費や低排出ガスのための高精度なエンジン出力制御や、運転支援や自動運転などの車両制御のために高応答なエンジン出力制御ができることは、大きなメリットです。
(Mr.ソラン)