●「見た目のクルマだけかと思ったら、そうじゃないんだね」
「あれ、セダンじゃないんだ」
荷物を積み込もうとテールゲートを開けたとき、ふと彼女がつぶやいた。続けて「ワゴンみたいだね」と言う彼女の印象は、正解である。
ジャンルとしては「セダン」に分類するアルテオンだけど、正確にいうとボディ形状はセダンではなく「5ドアハッチバック」。セダンは居住スペースと完全に分離したトランクを持つが、ハッチバックは荷室が居住スペースとつながっていて、トランクリッドではなくテールゲートが大きく開くのだ。
それにしても、アルテオンのラゲッジスペースは広い。ドイツ自動車工業会(VDA)が定めた測定方法だと563Lあり、これはDセグメントセダンの中ではトランクの広さ自慢のアウディ「A4」の480Lを大きくしのぐどころか、そのステーションワゴンである「A4アバント」の505Lさえも上回るのだから驚くほかない。
もちろんメルセデス・ベンツ「Cクラスステーションワゴン」の450リッターやBMW「3シリーズツーリング」の495リッターよりも広いのだ。
もちろんこの数字は後席背もたれ付近までの高さが基準なので、それ以上まで荷物を積み上げる状況ではステーションワゴンの強みが活きてくる。とはいえアルテオンは見た目がスポーティなのに加えて、これだけのラゲッジスペースを持つのだからまさに「才色兼備」といったところ。
さらに後席を倒せば床面に大きな段差がないステーションワゴンのような空間になるのも“純粋なセダン”には真似のできない芸当(最大1557L)。冗談抜きに、自転車を積むのも楽勝だ。それに、開口部が広いから大きな荷物も積み下ろししやすい。なんと実用的な車なのだろうか。