元銀行マン&元カーディーラー営業マンが伝授! 社長がクルマを買って節税するなら4年落ちの高級中古車が一番効率的!?

プロスポーツ選手や企業の社長などが、税金対策のためにクルマを買う…ということがあるのをご存知でしょうか? なぜクルマを買うと節税となるのか、そのカラクリと、効率的な節税方法を元銀行マン・元カーディーラー営業マンの立場から説明していきます。

■クルマは会社の資産

プロスポーツ選手や芸能人など、顔が多くの人に知られている人の場合、仕事場への移動に公共交通機関を使うことは憚られます。したがって、仕事の移動のためにクルマを買うことは、自身の必要経費として考えられるのです。また、会社の社長が、通勤や業務中の移動に使う名目のクルマも同様の理由から必要経費となります。クルマの名義は会社や個人事業主本人で、クルマは会計上の資産になるのです。

高級車、BMW
税金対策にならない趣味的要素の多いスーパーカーは、税務署NGの場合もあります。※写真はイメージです。

■減価償却を知るべし

会社や個人事業主の持つ資産は、減価償却といって一定割合ずつ価値が目減りします。その目減り分を経費として算入することで、本業での儲けを少なくすることができるため、事業所得に対して課せられる税金を少なくすることができます。減価償却の期間は新車で6年間となっており、6年かけて価値をゼロにするように計算されます。裏を返すと6年間をかけて購入時の金額を全額経費として計上していくというわけです。かなり大雑把な説明ですが、簡単に言うと、自分の儲けが少なくなっているように計算されるので、税金対策となるわけです。

■クルマならなんでもいいわけじゃない

金融マンとして働いているときに、税金対策としてフェラーリやランボルギーニのようなスーパーカーを買う社長がいました。その社長は、購入したスーパーカーが税務署に認められず不服を言っていました。いくら本人が税金対策としてクルマを購入しても、それを認めるか否かは税務署の判断となります。先に述べたように、必要経費として認められれば、節税の効果がありますが、そもそも事業に必要がないものと判断されてしまえば、事業資産としての計上ができなくなるため、節税対策にはなりません。

スーパーカー、アストンマーティン
こんなアストンマーティンは…税務署がどう判断するんでしょうか!? ※写真はイメージです。

ここは税務署の判断なので様々な例がありますが、会社の社長が仕事で乗るクルマがフェラーリやランボルギーニである必要がなく、「これは趣味のクルマを会社のお金で買っているだけだよね」となってしまうと元も子もありません。趣味の要素が強いスーパーカーやスポーツカーなどは注意が必要です。

一方で、メルセデスのSクラスやレクサスLSなどは、社用車としての使用の意味が確立されているので、引っかかるケースは少ないでしょう。ですから、会社の社長車はベンツやレクサスが多いのです。

レクサスLSの走り
レクサスやメルセデス、BMWの高級車を買うのは大企業の社長サマが多いです。※写真はイメージです。

■最も効率良く節税するためには

金融マンから自動車ディーラーの営業マンに転身した際に、敢えて中古車を買いに来る人を接客すると「この人は節税がわかっているな」と感じました。当時のお客様で、4年落ちの認定中古車のLS600hを1000万円で購入していった社長もそのうちの一人です。

どういうことか、ご説明します。

中古車の場合の減価償却の耐用年数は初度登録からの経過年数によって決められています。1年落ちで5年、2年落ちで4年、3年落ちで3年となり、4年落ち以上では2年間と決められています。高級車の中古車の場合、この4年落ちが一番効率がいいのです。

LSやSクラスなどでは4年落ちでも1000万円を超える認定中古車はたくさんあります。このようなクルマを買うことで、年間500万円以上の経費計上となり、新車で1500万円のクルマを買って6年かけて償却するよりも、短い期間で大きな額を経費として落とすことができます。これを知っていて意図的に高い中古車を買い求める社長は、儲かっていて頭がキレるなと感じます。

■まとめ

あまり金融や税務の専門的にならないように説明してきましたが、もしあなたが事業を起こして大儲けしたら、クルマを使えば有効に節税できるということは覚えておくといいでしょう。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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