【SUPER GT 2019】富士500マイルでModulo 34号車が3位表彰台。64号車も10位完走でポイントゲット

●34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3が3位で今季初表彰台!

8月4日〜5日に富士スピードウェイで開催された「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 5 FUJI GT 500mile RACE」。

GT300クラスの34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3は予選Q2で第1・第2セクターで区間トップタイムをマークしたもののタイヤのピークを外してしまったことにより、トップから0.5秒差の8位で予選を終了。GT300の8番手からスタートすることとなりました。

とはいえ予選を総合的に俯瞰してみればトップグループに充分に食い込めそうな手応えを得ていることは確かで、なおかつ500マイルすなわち800kmの距離を考えればこの予選順位も悲観する必要がないことも事実。

スターティンググリッドの雰囲気もかなり和やかな雰囲気となっています。

スタートドライバーは大津弘樹選手が担当。この500マイルレースでは4回のピットインが義務付けられており、問題がなければ5スティント制となります。そのうち大津選手はスタート、第3スティント、フィニッシュと3スティントを乗ることとなるのです。

13時40分ころパトカー先導のパレードラップからフォーメーションラップを経てローリング方式で切られたスタート。スタート早々にGT300のトップ集団に順位の入れ替えはあったものの、Modulo KENWOOD NSX GT3は順位変動なく淡々と周回をしていきます。

第1スティントでは11位まで順位を落としますがGT500の周回数で29周目に1回目のピットインでタイヤを4本全て交換。その後のピットインもすべてタイヤは4本交換としています。

中盤までピットインの度に見た目の順位は大きく変動します。しかしその中でも実質的な順位は徐々に上げてきているModulo KENWOOD NSX GT3。

4位の位置で最後のピットインの機会を伺いながら3位のSUBARU BRZ R&D SPORTを0.5秒差ほどで追いかけていたModulo KENWOOD NSX GT3は、GT500の145周目にSUBARUと同時にピットイン。Modulo KENWOOD NSX GT3はドライバーを大津選手に交代、タイヤを4本交換しながら29秒9というSUBARUより約8秒早いピット作業タイムでコースに復帰。

夕方となり日が傾いてきたことで気温、路面温度ともに下がって行きます。ここからModulo KENWOOD NSX GT3の快進撃が始まります。

9位でレースに復帰し、GT500で151周目で上位陣が最後のピットインからレースに復帰した時、Modulo KENWOOD NSX GT3は4位まで浮上。しかも3位の18号車 UPGARAGE NSX GT3までの差は2秒9程度。そう、ターゲットはすぐ前に見えているのです。

UPGARAGE NSX GT3のその時のドライバーは小林崇志選手で、2018年のスーパー耐久で大津選手とともにModulo CIVIC TCRをクラスチャンピオンに導いた盟友です。つまりお互いの事をよく知る2人の直接対決。大津選手にとっては負けられない戦いです。

158周目のTGRコーナーで最初に仕掛けたのはModulo KENWOOD NSX GT3は大津選手。その後のコカ・コーラコーナーまでの攻防が凄まじく、2台がワイドになりながら激しいドッグファイトを繰り広げながらコーナーに侵入していきます。コカコーラコーナーでブロックを仕掛けようとしたUPGARAGE NSX GT3の小林選手でしたが、わずかに前に出たModulo KENWOOD NSX GT3に対しては効果が薄い。その後のトヨペットコーナーでModulo KENWOOD NSX GT3は完全に前へ出て3位に浮上します。

そこからも追撃の手を緩めることなく2位の52号車 埼玉トヨペットGB マークX MCを追いかけていく大津選手とModulo KENWOOD NSX GT3。3位浮上した時点では14秒ほどの差があったにもかかわらず埼玉トヨペットGB マークX MCはレース中盤からタイヤ交換をしていないことによりラップタイムはModulo KENWOOD NSX GT3が2秒近く早い。

GT500が177周を走り切ることを思えばGT300は165周前後でフィニッシュとなるためにもしかするとラストラップでもう一度バトルを見ることが出来るかもしれない。

しかし、そんな期待をよそにレースは周回数ではなく18時40分という日没時間を持って終了ということになってしまいます。その18時39分の時点でGT300は162周、2位と3位のタイム差は実に3秒3。

レースが周回数で、と考えれば惜しいとは言えますが周回数もしくは最大競技時間というルールの中での3位でチェッカーフラッグをくぐり抜けたModulo KENWOOD NSX GT3。

今シーズン初の表彰台となりました。

レース後のインタビューで道上龍選手は「昨年の500マイルを走れていないので正直な話、今年はここまで戦えるとは思っていなかった」と語ります。

「ストレートスピードの速いNSX GT3にとって富士は相性の良いコースなので行ける気はしていました。昨年はフリー走行中のクラッシュでレースに参加していないのでヨコハマタイヤでのロングディスタンスのデーターがない中、それでもタイヤマネージメントが重要だと思っていたのでスタートはミディアム、第2スティントでハード、その後は再びミディアムとコンパウンドを変えながら挑んでいきました」。

4回目のピットインでSUBARUとのピット作業バトルで8秒の大差をつけたことに関して大津選手は「3スティント目で燃費よくタイムを稼ぐことができたおかげで最後のピットインでは給油時間をかなり短くできたことでピット作業に差がつきました。それ以外にもピット作業の効率がかなり良くて、他のピットインの時もかなり素早いタイムでピットアウト出来ています」と語ります。

ここにきて一気に戦闘力を増してきた34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3。次戦は昨年表彰台に上がっているオートポリス戦。ここは一気にもっと高い場所へと歩んでいって欲しいと期待します。

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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