●「ワンガンブルー」は進化の証。扱いやすいストリートモデルに成長したGT-R
スカイラインGT-Rの生産終了から5年を経て、2007年に日産GT-Rが登場しました。直6からV6に変更になったエンジン、トランスアクスル式の4WDと大きくメカニズムが変わったGT-Rは、圧倒的パフォーマンスを誇るスーパースポーツとなりました。
初期ロットのGT-Rはじつに荒々しいモデルでした。もちろん当時としては最新のコントロールデバイスを備えたモデルだったのですが、480馬力のハイパワーを扱うにはそれ相応のスキルとテクニックをもとめるようなクルマであったと記憶しています。
その後、何度か試乗する機会がありましたが、そのたびにGT-Rは熟成を重ね、乗り手の負担を減らしてきたという印象があります。
そして今回乗った2020年モデルの日産GT-R。びっくりするくらいに乗りやすいモデルに進化していたのです。たとえば、アクセルの踏み込み量、踏み込み速度に対するエンジンの反応といったところから始まり、ステアリングの操作によるタイヤの反応、そしてブレーキ。あらゆる操作に対するクルマの反応からカドが取れた印象です。
それでいて圧倒的なパフォーマンスはそのままです。高速道路を使ったとはいえ、あくまでも公道での試乗ですから限界の入り口にすら届いていませんが、アクセルペダルをグッと踏み込んだときの暴力的とも言える加速感は相変わらず。また、ステアリングを切り込んでいったときのグイグイ曲がっていくときもどこまでもグリップしていくような感覚を持っています。
そうした加速感、コーナリングパフォーマンスを得ながらも、神経質な部分がなくなっているのがとても印象的でした(初期型はすごくいいけどやたらと神経質な感じだったのです)。12年という月日は、タイヤはもちろん制御系のソフトウエア関連も大きく進化させています。そうした進化がGT-Rというクルマを変えていったのでしょう。
初期ロットがあくまでもサーキットでのラップタイムに重点を置いたクルマであったのに対し、現行モデルはストリートでの快適性と速さを追求したモデルだという印象です。その象徴が今回採用された新しいボディカラー「ワンガンブルー」なのです。
(文/写真・諸星陽一)