●全幅に対して寛容になっている欧州車でも、取り回しのしやすさは確保
初代レンジローバー・イヴォークのとくに3ドアモデルは、クーペSUVとして明確な意思を感じさせるデザインが魅力でした。こうしたデザインで挑戦したモデルの2代目の造形が難しくなるのは容易に想像できます。
2代目はひと目でイヴォークと分かるキープコンセプトでありながらもエクステリア、インテリアの質感を大きく高められたことが分かります。
初代はデザインで多くの新規顧客を惹きつけながらも、「レンジローバー」ブランドを名乗るには少し物足りなさを覚えるオーナーもいたはず。さらに、後席の頭上や足元空間が狭いというクーペ系クロスオーバーSUVのトレードオフの図式が成り立っていました。
2代目イヴォークのボディサイズは、全長4380×全幅1905×全高1650mm、ホイールベースは2680mm。全長は短めですが、全幅は1.9m超で狭い住宅地や駐車場では持て余しそう。欧州車は総じて全幅に対して「寛容」といえる流れになっていて、新型イヴォークも例に漏れません。
ただし、2代目レンジローバー・イヴォークも完全なコマンドポジションまではいかなくても、周囲を見下ろしたアップライトな運転姿勢に加えて、ボディ四隅とサイドウインドウを開けてギリギリまで寄せるといったコントロールがしやすく、取り回しのしやすさは確保されている印象です。
一方で、初代同様に後方、斜め後方の視界は限られるため、カメラ映像によるドライバーサポート機能のありがたみが増しているように感じられます。
ボンネットが透けて見える世界初の「ClearSightグラウンドビュー」は、狭い悪路に見立てた専用コースでも自車(タイヤの)位置が把握しやすく、障害物の有無が手に取るように分かります。オフロードコースでなくても前向き駐車する際に、前方下にある車止めなども把握しやすそう。
こちらは、フロント下180度の視覚を確保するもので、30km/h以下で表示され、超えるとナビ画面などに戻ります。この映像は前後カメラとドアミラーのカメラ映像を合成して作り出された映像で、30km/hを超えると処理が間に合わないため表示されないそう。安全面からも低速用になっているのも理解できます。
視界関連では、日本車でもお馴染みのカメラ映像切替式ルームミラーを採用。ジャガー・ランドローバー初採用になる「ClearSightインテリア・リヤビュー」は、ルームミラー下のスイッチをフリック操作するだけで、後方の視野角50度のカメラ映像に切り替わる機能。カメラはルーフにあるフィンアンテナ後方に配置されていて、スタイリッシュなイヴォークのデザインを損なわずにすんでいます。
そのほか、車載インフォテインメントでは、10インチの2つの解像度タッチスクリーンからなる「Touch Pro Duo」が採用され、「Android Auto」「Apple CarPlay」に対応。ワイヤレス接続で最新のソフトウェアにアップデートできる「SOTA(Software Update Over The Air)に対応しています。
コネクティビティも充実していて、クルマから離れていても車両の状態を確認・操作できる「リモート」、スマホ・アプリをタッチスクリーンで操作できる「InControlアプリ」、最大8台のデバイスにワイヤレス接続出来る4Gの「Wi-Fiホットスポット」などが用意されています。
価格帯は、2.0L直列4気筒「INGENIUM(インジニウム)ディーゼル」仕様が523万〜821万円。2.0L「INGENIUM(インジニウム)ガソリン」モデルが461万〜801万円です。
(文/塚田勝弘 写真/中野幸次)