目次
■チューニングも計画的に~!
1986年1月にリリースされた2代目ソアラをベースに、トラスト流「スーパーソアラ・チューニング計画」がスタート! その3は、計画的に進めていく1stステップ「マフラーチューニング」編。
「レースをするためのマフラー制作」からスタートしたトラストのウデの見せドコロをじっくり見てみましょう!
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OPTION・TRUST Joint Tuning
新ホットマシン『スーパーソアラ7MG』チューニング計画
【STEP1】
■これがトラスト70φマフラー・チューンド仕様だ!
最高速=245.32km/h ゼロヨン=14.49秒(超ウェット・コンディション)
【マフラー本体チェック】多様なテストと理論から70φが生まれた!
純正ターボ車の一番手っ取り早いチューニングはマフラー交換だ。純正ターボ車のほとんどはマフラー交換することでブースト圧がアップして、パワーがグンと上昇する。コストパフォーマンスからいっても絶対のおススメといっていい。
が、ここで注意しなければならないことがある。ピークパワーは確かに上昇するけれど、中低速域のトルクが細くなってしまう場合や、あまりにもブーストがアップしすぎてフューエルカットが作動してしまうことがあるからだ。
前者は排気の抜け過ぎによるもので、ノーマル時よりも乗りにくくなってしまう。後者はフューエルカットを防止する装置もあるが、エンジンをよく知ってから使用しないとエンジンブローにつながる危険もある。
その点トラスト製のターボ用マフラーは、多くのテストデータ(エンジンテストベンチ、シャシーダイナモ、実走行など)や、三菱製タービンの共同開発による技術的ノウハウによって作られている。
【谷田部テスト】なんとノーマル・デュアルをシングル出しに!
トラスト製70φニューソアラ用マフラーを装着する前に、ノーマルマフラーをチェックしておこう。純正品は触媒、サブマフラー(全長300mm)、メインマフラー(全長520mm)と、標準的パターンで構成されている。
基本パイプ径は52φでボディやサスペンションとのクリアランスの関係から、メインマフラーの曲り部の手前で楕円につぶされている。以前までの純正マフラーに比べてパイプの曲りにしわなどが入らず、しっかりとした作りにはなっているが、トラスト製マフラーに比べると、やはり作りが雑に見えてしまう。
トラスト製70φニューソアラ用マフラーは、70φのパイプと3つの小判型消音器から構成される。
ノーマルの触媒部には第1サブマフラー(全長400mm)。ノーマルのサブマフラー部に第2サブマフラー(全長300mm)。そしてメインマフラーはシングル出口で70φから85φに変わる、メガホンタイプのメッキ製だ。
このシングル出しのデザインは、カッコで決められたものではない。ノーマルと同じデュアル出しも考えられたが、より耐久性と消音性を考えるとシングルのほうがベターなのだ。このあたりにも理論と実践、そして経験に裏打ちされたトラストの強みが見られる。
必要以上のパイプ径とせずに、パワーアップと乗りやすさ、耐久性と消音性を実現しているのだ。
■ウェットで驚異のゼロヨンタイムをマーク!!
ノーマル車のパワーチェックの前に、シャシーダイナモで2000rpm、150kmほどの慣らしが行われている。この後にパワーチェックをしてみると、なんとブースト圧0.35kg/cm2で246psをマーク。ノーマルの230psをあっさりとオーバーしてしまったのだ。まさに大当たりのエンジンといえよう。
ブースト圧がノーマルの設定値である0.48kg/cm2より低い数値だが、シャシーダイナモの場合にはロードのかかり方などから実際よりもブースト圧が下がってしまうケースがある。今回のニューソアラもこのケースだと考えていいだろう。
そしてトラスト製70φニューソアラ用マフラーでのパワーチェック。ブースト圧は0.45kg/cm2にアップし296psをマークした。数値的には50psのアップになる。もちろんシャシーダイナモにも個体差が考えられるが、同一ダイナモによるパワーアップ度だから精度も高い。
谷田部での体力測定は、無念にも雨。が、気になる計測結果は最高速214.29km/h→245.32km/h、ゼロヨン15.47秒→14.49秒と向上。最高速で31.03km/h、ゼロヨンで0.98秒のアップだ。
最高速テストではバンク走行からストレートに入るときの雨の影響が辛かった。とりわけスーパーソアラはノーマルに比べてパワーがアップしている分、ステアコントロールが難しく、アクセルを踏みきれないのだ。天候に恵まれれば記録はもっと伸びたはずだ。
ゼロヨンに関しても、ウェット状態でパワーアップ分をフルに生かすことはできなかった。
それにしても14.49秒は速い! ウェットにもかかわらずノーマルソアラの過去最高データ(ベストコンディションで14.55秒)をしのいだのだから。
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おぉ~! カンブ大川さん自らマフラー交換している~!! それにしてもOPTのテストって…ウェット谷田部が一番、残念しかも多いような気もする。ウェットはろくなテストにはならないのに、使用料は発生…当たり前だけど。まぁ、そんなこんなにもめげずに続けられていた谷田部テストでした~。
[OPTION 1986年7月号より]
(Play Back The OPTION by 永光 やすの)